Scene 33 · Notes

解説 場面 33「弁護士の影」

この場面の解説

ホームズはゴドフリー・ノートンが事件の鍵を握る人物だと見て、ワトソンに推理の筋道を語る。ワトソンは話にしっかりついて行っていると答える。

表現・文法のポイント

evidently an important factor in the matter
evidently は「(証拠から見て)明らかに」。factor は「要因・要素」で、in the matter は「この件において」。ホームズらしい理詰めの言い方で、日常語の obviously より観察に基づく判断の響きがある。
I am following you closely
follow は「後をついて行く」から転じて「話を理解する」の意。closely を添えて「一言も漏らさず聞いている」と強調する。Are you following me?(話についてきてる?)は今でもよく使う表現だ。

全文の対訳

"This Godfrey Norton was evidently an important factor in the matter. He was a lawyer. That sounded ominous. What was the relation between them, and what the object of his repeated visits? Was she his client, his friend, or his mistress? If the former, she had probably transferred the photograph to his keeping. If the latter, it was less likely. On the issue of this question depended whether I should continue my work at Briony Lodge, or turn my attention to the gentleman's chambers in the Temple. It was a delicate point, and it widened the field of my inquiry. I fear that I bore you with these details, but I have to let you see my little difficulties, if you are to understand the situation."

「このゴドフリー・ノートンという男が、事件の重要な要素であることは明らかだった。彼は弁護士だった。これはどうも不吉な響きだ。二人はどんな間柄で、彼が何度も訪ねてくる目的は何なのか?彼女は彼の依頼人か、友人か、それとも愛人か?依頼人なら、おそらく写真を彼に預けているだろう。愛人なら、その見込みは薄い。この問いの答えしだいで、ブライオニー荘での仕事を続けるか、テンプルにあるその紳士の事務所に目を向けるかが決まるわけだ。微妙な問題で、おかげで調べる範囲が広がってしまった。こんな細かい話で退屈させているかもしれないが、状況をわかってもらうには、私のちょっとした悩みどころを知っておいてもらわないとね」

"I am following you closely," I answered.

「ちゃんとついて行っているよ」と私は答えた。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • difficulties(ディフィカルティーズ)… 困難・悩みどころ(複数)
  • transferred(トランスファード)… 移した・預けた・転勤させた
  • evidently(エヴィデントリー)… 明らかに・見たところ
  • situation(スィチュエイション)… 状況・事態
  • relation(リレイション)… 関係・間柄・親類
  • repeated(リピーティッド)… たび重なる・繰り返された
  • mistress(ミストレス)… 愛人(女性)・女主人
  • depended(ディペンディッド)… (〜しだいで)決まった・頼った

次の場面:急ぐ紳士 The Hurried Gentleman

ホームズが思案していると、一台の辻馬車がブライオニー荘に着き、浅黒い美男子が飛び降りる。噂の男に違いない。三十分ほど屋内で興奮気味に話したあと、彼はいっそう慌てた様子で出てくると、時計を見ながら、リージェント街と聖モニカ教会へ大急ぎで向かえと御者に命じる。