Scene 45 · Notes

解説 場面 45「隠し場所」

この場面の解説

写真は銀行家か弁護士に預けたのかとも考えられる。ワトソンが家は二度も泥棒に入られたと言うと、ホームズは探し方を知らなかっただけだと一蹴する。

表現・文法のポイント

There is that double possibility.
「その二通りの可能性がある」。that は直前に挙げた「銀行家か弁護士か」を指す。前の場面の double-edged に続いて double を重ねており、ホームズが可能性を一つずつ検討していく語り口だ。
it has twice been burgled
burgle は「(家に)泥棒に入る」で、burglar(夜盗)から逆に作られたイギリス英語の動詞。アメリカでは burglarize と言う。twice の位置が has と been の間に入っている点にも注意。
Pshaw!
軽蔑やいら立ちを表す古い間投詞で「ふん!」「ばかな!」に近い。ワトソンの心配を取るに足りないと一蹴する、ホームズらしい自信の表れだ。現代ではほとんど使われない。
They did not know how to look.
how to look は「どう探せばよいか」。look はここで「探す」の意。泥棒の失敗は場所のせいではなく探し方のせいだ、と言い切ることで、自分なら見つけられるという含みを持たせている。

全文の対訳

"Her banker or her lawyer. There is that double possibility. But I am inclined to think neither. Women are naturally secretive, and they like to do their own secreting. Why should she hand it over to anyone else? She could trust her own guardianship, but she could not tell what indirect or political influence might be brought to bear upon a business man. Besides, remember that she had resolved to use it within a few days. It must be where she can lay her hands upon it. It must be in her own house."

「銀行家か、弁護士か。その二つの可能性はある。だが、私はどちらでもないと思う。女性は生まれつき秘密を好むもので、隠し事は自分の手でしたがる。どうしてわざわざ他人に預けたりするだろう?自分で守るぶんには信用できるが、商売人に預ければ、どんな間接的な、あるいは政治的な圧力がかけられるか知れたものではない。それに、彼女が数日のうちに写真を使うと決めていたことを思い出してほしい。すぐに手の届くところにあるはずだ。自宅にあるに違いない」

"But it has twice been burgled."

「でも、あの家は二度も泥棒に入られているよ」

"Pshaw! They did not know how to look."

「ふん!探し方を知らなかっただけだよ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • secreting(スィクリーティング)… 隠すこと(secrete の -ing 形)・分泌すること難
  • pshaw(プショー)… ふん!・ばかな!(軽蔑・いら立ちの間投詞)難
  • guardianship(ガーディアンシップ)… 保管・保護・後見
  • possibility(ポスィビリティ)… 可能性
  • secretive(スィークレティヴ)… 秘密主義の・隠し立てする
  • political(ポリティカル)… 政治的な・政治の
  • influence(インフルエンス)… 影響・影響力
  • inclined(インクラインド)… 〜したい気がする・〜する傾向がある(be inclined to 〜)

次の場面:馬車の音 The Sound of Wheels

では、どうやって探すつもりなのかとワトソンは尋ねる。ホームズは、探しはしない、彼女自身に見せてもらうのだと答える。断られるだろうと言っても、断れはしないと落ち着いたものだ。そのとき車輪の響きが聞こえてくる。彼女の馬車だ。ホームズはワトソンに、指示を一字一句たがえずに実行するよう念を押す。