第 3 章(III)あの女性A Scandal in Bohemia

翌朝、ベイカー街に国王が飛び込んでくる。写真のありかを突き止めたホームズは、国王とワトソンを連れてもう一度屋敷へ向かう。勝負はどう決着するのか。そして、ホームズがある女性をなぜ「あの女性」と呼ぶのか、その理由が明かされる。

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  1. 56国王の到着 The King Arrivesその夜、ワトソンはベイカー街に泊まる。翌朝、二人がトーストとコーヒーの朝食をとっているところへ、ボヘミア国王が勢いよく駆け込んでくる。写真はもう手に入ったのかと詰め寄る国王に、ホームズはまだだが見込みはあると答える。待ちきれない国王の箱馬車で、三人はふたたびブライオニー荘へ向かう。
  2. 57結婚の知らせ News of the Marriage翌朝、ベイカー街に駆けつけた国王とともに、ホームズとワトソンは箱馬車でふたたびブライオニー荘へ向かう。その車中でホームズは、アイリーン・アドラーが昨日結婚したことを告げる。驚く国王に、彼女が夫を愛しているのなら、それはむしろ陛下にとって好都合なのだと、ホームズは淡々と説いてみせる。
  3. 58出迎えた老女 The Woman on the Stepsホームズの理屈を認めながらも、国王は、彼女が自分と同じ身分であればどれほどの王妃になったことかと嘆き、ふさぎ込んで黙り込む。やがて馬車はサーペンタイン通りのブライオニー荘に着く。玄関の扉は開いていて、石段の上では年配の女が待ち構えたように一行を迎え、ホームズの名を呼ぶ。
  4. 59空の巣 The Empty Nest女主人は夫とともに今朝早く大陸へ発った――思いがけない知らせに、ホームズは顔色を失う。もう戻らないと聞いた国王は、すべておしまいだと嘆く。ホームズは召使いの女を押しのけて、荒らされた客間へ駆け込み、呼び鈴の引き紐の奥の隠し場所に手を差し入れる。そこには自分宛ての手紙が残されていた。
  5. 60置き手紙 The Letter隠し場所から出てきたのは、アイリーン・アドラーがホームズに宛てて前夜の午前零時に書いた手紙だった。三人はそれをそろって読む。彼女はまず、ホームズの見事な芝居にすっかりだまされたことを素直に認める。そのうえで、火事騒ぎのあと何に気づき、自分がどのように動いたのかを語りはじめる。
  6. 61手紙の結び The Letter Ends手紙は続く。男装した彼女はホームズのあとをベイカー街の戸口までつけ、自分が名探偵に狙われていると確かめたうえで、あの夜の挨拶を投げかけたのだった。夫と相談して逃げることに決めた彼女は、写真のことで国王が心配する必要はないと書き、代わりに一枚の写真を残していくと告げて筆をおく。
  7. 62国王の賛嘆 What a Woman手紙を読み終えた国王は、アイリーンの頭の回転の速さと決断力をほめたたえ、彼女が自分と同じ身分でなかったことを惜しむ。ホームズは、彼女はたしかに陛下とはまるで違う次元にいるようだと冷ややかに応じ、依頼をうまく片づけられなかったことをわびる。だが国王は、これ以上の成功はないと言い切る。
  8. 63望みの報酬 The Reward写真はもう安全だと喜ぶ国王は、ホームズに深く感謝し、どのように報いればよいかと尋ねる。そして、指から抜いたエメラルドの蛇の指輪を手のひらにのせて差し出す。だがホームズは、陛下はそれよりもずっと価値のあるものをお持ちだと答え、思いもよらない品の名を挙げて国王を驚かせる。
  9. 64女性の機知 A Woman's Wit写真を受け取ったホームズは、国王に礼を述べて依頼の終わりを告げる。そして差し出された国王の手には目もくれず、ワトソンを伴ってベイカー街へ引き揚げる。ボヘミア王国を揺るがしかけた醜聞は、こうして一人の女性の機知によって幕を下ろす。この一件以来、ホームズが彼女を語るときの呼び名は決まっている。