Scene 07 · Notes

解説 場面 7「相談に来た理由」

この場面の解説

メアリーは、知人から聞いたホームズの力を頼り、エンジェルの行方を知りたいと訴える。ホームズが急いで来た理由を尋ねると、継父が何もせず平然としていることに腹を立てたのだと説明する。

表現・文法のポイント

in my own right
in my own right は「自分自身の権利として」。ここでは、働いて稼ぐお金とは別に、本人に権利のある年収があることを示す。そのお金がどこから来るか、家でどう扱われるかは、この言葉だけではまだ説明されていない。
what has become of Mr. Hosmer Angel
what has become of someone は「その人はどうなったのか、どこへ行ったのか」。become が職業や性質の変化を表す使い方とは異なる。ここでは、メアリーが消息の分からない男性について、その後の状況を知りたいと訴えている。

全文の対訳

"I came to you, sir, because I heard of you from Mrs. Etherege, whose husband you found so easy when the police and everyone had given him up for dead. Oh, Mr. Holmes, I wish you would do as much for me. I'm not rich, but still I have a hundred a year in my own right, besides the little that I make by the machine, and I would give it all to know what has become of Mr. Hosmer Angel."

「こちらに来たのは、エサリッジ夫人からお話を聞いたからです。警察もみんなも亡くなったものと諦めていたご主人を、あなたはいとも簡単に見つけてくださったそうです。ああ、ホームズさん、私にも同じようにしていただけたらと思います。私はお金持ちではありませんが、タイプを打って得るわずかなお金のほかに、自分の権利として年に百ポンドあります。ホズマー・エンジェルさんがどうなったか分かるのなら、全部差し上げても構いません」

"Why did you come away to consult me in such a hurry?" asked Sherlock Holmes, with his finger-tips together and his eyes to the ceiling.

「なぜそんなに急いで家を出て、私に相談にいらしたのですか」とシャーロック・ホームズは、指先を合わせ、天井へ目を向けて尋ねた。

Again a startled look came over the somewhat vacuous face of Miss Mary Sutherland. "Yes, I did bang out of the house," she said, "for it made me angry to see the easy way in which Mr. Windibank—that is, my father—took it all. He would not go to the police, and he would not go to you, and so at last, as he would do nothing and kept on saying that there was no harm done, it made me mad, and I just on with my things and came right away to you."

メアリー・サザーランド嬢の、いくぶんぼんやりした顔に、また驚きの表情が浮かんだ。「ええ、私は勢いよく家を出てきました」と彼女は言った。「だって、ウィンディバンクさん、つまり父が、何もかも平気な顔で受け止めているのを見て、腹が立ったんです。警察にも行こうとせず、あなたのところにも来ようとしないのです。それでとうとう、何もせず、別に何も悪いことは起きていないと言い続ける父に腹が立って、私はさっと身支度して、まっすぐこちらへ来たんです」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • vacuous(ヴァキュアス)… ぼんやりした・うつろな難
  • finger-tips(フィンガーティップス)… 指先(fingertips の古い綴り)
  • startled(スタートゥルド)… 驚いた・びっくりした
  • somewhat(サムウォット)… いくらか・やや
  • consult(コンサルト)… 相談する・(専門家に)意見を求める
  • ceiling(スィーリング)… 天井
  • bang(バング)… (bang out ofで)勢いよく飛び出す・ばたん・どしんという音・強く打つ
  • harm(ハーム)… 害・危害

次の場面:家族の話 Her Family

メアリーはウィンディバンクという人を父と呼ぶが、その名は彼女の姓とは違う。ホームズは、その人が継父ではないかと確かめる。メアリーは、母が実父の死後まもなく、ずっと年下の男性と再婚したことを話す。トテナム・コート・ロードで配管工をしていた実父の商売のその後も、話の中に出てくる。