Scene 24 · Notes

解説 場面 24「依頼人が去って」

この場面の解説

依頼人が去ると、ホームズはパイプをくゆらせて考える。問題には過去の類例があると述べつつ、メアリー本人の姿には学ぶことが多かったとワトソンに話す。

表現・文法のポイント

Old as is the idea
形容詞のOldを前に出した、譲歩を表す言い方である。「考え方は古いけれど」と受け、次の文では新しかった細部もあると述べる。古いから新しい点はない、という意味ではなく、古さと新しさを対照させている。
as a counsellor
counsellorは相談相手や助言者。ここでは人ではなく、いつもの陶製パイプをそのような存在にたとえている。ホームズがパイプに実際に話を聞くということではなく、考えを進める際に頼りにしている物として描かれる。

全文の対訳

Sherlock Holmes sat silent for a few minutes with his fingertips still pressed together, his legs stretched out in front of him, and his gaze directed upward to the ceiling. Then he took down from the rack the old and oily clay pipe, which was to him as a counsellor, and, having lit it, he leaned back in his chair, with the thick blue cloud-wreaths spinning up from him, and a look of infinite languor in his face.

シャーロック・ホームズは数分間、黙って座っていた。指先は合わせたままで、両脚を前に伸ばし、視線を天井へ向けていた。やがて彼は、相談相手のように頼りにしている、古い油じみた陶製パイプをパイプ掛けから取り、火をつけた。椅子の背にもたれると、濃い青い煙が輪を巻いて立ち上り、その顔には限りないけだるさが浮かんだ。

"Quite an interesting study, that maiden," he observed. "I found her more interesting than her little problem, which, by the way, is rather a trite one. You will find parallel cases, if you consult my index, in Andover in '77, and there was something of the sort at The Hague last year. Old as is the idea, however, there were one or two details which were new to me. But the maiden herself was most instructive."

「あの娘さんは、なかなか面白い研究対象だね」と彼は言った。「私は、あの人のちょっとした問題より、本人のほうが興味深かった。ついでに言えば、あの問題はかなりありふれたものだ。私の索引を調べれば、七七年のアンドーヴァーに似た事件が見つかるし、昨年のハーグにも同じようなものがあった。もっとも、考え方そのものは古いが、細部には一つ二つ、私にも初めてのことがあった。だが、あの娘さん本人には、学ぶところが実に多かったよ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • cloud-wreaths(クラウドリーズ)… 輪を巻く煙・雲の輪難
  • languor(ランガー)… けだるさ・無気力難
  • maiden(メイドゥン)… 未婚の・乙女難
  • trite(トライト)… ありふれた・陳腐な難
  • instructive(インストラクティヴ)… 参考になる・学ぶところのある
  • fingertips(フィンガーティップス)… 指先(fingertip の複数形)
  • counsellor(カウンセラー)… 相談相手・助言者
  • directed(ダイレクティッド)… 向けられた・向けた

次の場面:観察したもの What Was Observed

ホームズは依頼人から、ワトソンには見えないことをずいぶん読み取ったらしい。見えなかったのではなく、気づかなかったのだ、とホームズは言う。袖や親指の爪、靴ひもの大切さを説き、彼女の身なりを説明してみたまえと促す。ワトソンは、覚えていることを一つずつ並べはじめる。