第 3 章(III)残された書類A Case of Identity

依頼人が帰ったあと、ホームズはワトソンに、彼女の身なりから何が読み取れたかを尋ねる。袖口、顔、足もと、手袋。観察のしかたを説いたホームズは、依頼人が残していった新聞広告の切り抜きと手紙を調べ、二通の手紙を書くことにする。

場面を選ぶ (0 / 7 読了)

  1. 24依頼人が去って After the Visitorメアリーが帰ったあと、ホームズは指先を合わせたまま、しばらく黙って天井を見つめる。やがて、考えごとの友である古い陶製のパイプに火をつけ、椅子に深くもたれる。青い煙の中でホームズが口にしたのは、事件そのものよりも、依頼人の女性への関心だった。
  2. 25観察したもの What Was Observedホームズは依頼人から、ワトソンには見えないことをずいぶん読み取ったらしい。見えなかったのではなく、気づかなかったのだ、とホームズは言う。袖や親指の爪、靴ひもの大切さを説き、彼女の身なりを説明してみたまえと促す。ワトソンは、覚えていることを一つずつ並べはじめる。
  3. 26袖口の話 A Question of Sleevesワトソンの説明を聞いたホームズは、手をそっと打ち合わせて笑う。大事なことはすべて見落としているが、やり方は身につけてきた、と言うのだ。ホームズが最初に見るのは、相手が女性なら袖だという。プラッシュの袖口には何が残っていたのか。そして、顔に見つけた印とは。
  4. 27足もとのこと At Her Feetホームズはさらに、依頼人の足もとにも目を向けていた。一見そろって見える靴には、ワトソンの気づかなかった違いがあったという。破れた右手の手袋についても、ホームズにはまだ話すことがある。ひととおり話し終えると、ホームズは仕事に戻ろうと言い、新聞広告を読んでほしいとワトソンに頼む。
  5. 28広告の切り抜き The Printed Noticeワトソンは小さな切り抜きを明かりにかざし、ホズマー・エンジェルを捜す広告を読み上げる。いなくなったのは十四日の朝。背丈、体つき、顔色、髪、ひげ、眼鏡、話し方の難、最後に見たときの服装と勤め先まで、広告には事細かに書かれている。
  6. 29机上の手紙 Letters on the Table広告を聞き終えると、ホームズはエンジェルからの手紙に目を通す。中身はありふれていて、手がかりはほとんどない。ただし、一つだけ目を引く点がある、とホームズは言う。手紙がタイプで打たれていることには、ワトソンもすぐに気づく。だが、ホームズが言いたいのはそれだけではない。
  7. 30返事を待つまで Until the Replies Arriveホームズが手紙のどこに目をつけたのか、ワトソンにはまだ分からない。ホームズは、これで片がつくはずだと言って、二通の手紙を書くことにする。一通はシティの商会へ、もう一通は依頼人の継父へ。返事が来るまでは何もできない。ワトソンは、友人はもう手がかりをつかんでいるのだろうと考える。