Scene 34 · Notes

解説 場面 34「機械の癖」

この場面の解説

ホームズはエンジェルを見つけられると断言し、ウィンディバンクを驚かせる。タイプライターにも個性があると説明し、来客の手紙に見られるeのかすれとrの欠けを指摘する。

表現・文法のポイント

no two of them write exactly alike
no twoは二つをどのように選んでも同じにはならない、という否定。themはタイプライターを指す。直前のUnless they are quite newが、新品である場合を除くという条件を付けている。
a slight defect in the tail
tailはここでは動物の尾ではなく、文字rの末端のはねを指す。slight defectは小さな欠けや不具合であり、eのかすれと並べて、機械が打つ文字に現れる特徴を説明している。

全文の対訳

"On the contrary," said Holmes quietly; "I have every reason to believe that I will succeed in discovering Mr. Hosmer Angel."

「それどころか」とホームズは静かに言った。「エンジェルさんを見つけられると信じるだけの十分な理由があります」

Mr. Windibank gave a violent start and dropped his gloves. "I am delighted to hear it," he said.

ウィンディバンクさんは、びくりと大きく身を震わせ、手袋を落とした。「それはうれしいお話です」と彼は言った。

"It is a curious thing," remarked Holmes, "that a typewriter has really quite as much individuality as a man's handwriting. Unless they are quite new, no two of them write exactly alike. Some letters get more worn than others, and some wear only on one side. Now, you remark in this note of yours, Mr. Windibank, that in every case there is some little slurring over of the 'e,' and a slight defect in the tail of the 'r.' There are fourteen other characteristics, but those are the more obvious."

「面白いことに」とホームズは述べた。「タイプライターには、人の筆跡に劣らぬ個性があるのです。まったくの新品でもなければ、どの二台もまるで同じようには打てません。ほかよりすり減る文字もあれば、片側だけすり減るものもあります。さて、ウィンディバンクさん、あなたのこの手紙では、どの箇所でもeに少しかすれがあり、rの末尾のはねにわずかな欠けがあるのがお分かりでしょう。ほかにも十四の特徴がありますが、特に分かりやすいのはこの二つです」

"We do all our correspondence with this machine at the office, and no doubt it is a little worn," our visitor answered, glancing keenly at Holmes with his bright little eyes.

「うちの事務所の手紙はすべてこの機械で打ちますから、多少はすり減っているでしょうね」と来客は答え、その明るい小さな目で鋭くホームズを見た。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • individuality(インディヴィジュアリティー)… 機械などに固有の特徴・個性・人となり難
  • r(アー)… アルファベットの小文字r難
  • characteristics(キャラクタリスティックス)… 特徴(characteristic の複数形)
  • correspondence(コレスポンダンス)… 書簡のやり取り・通信
  • discovering(ディスカヴァリング)… 見つけること・気づくこと(discover の -ing 形)
  • handwriting(ハンドライティング)… 筆跡・手書きの文字
  • contrary(コントラリー)… 反対・逆。on the contrary で「それどころか」
  • remarked(リマークト)… 言った・述べた

次の場面:小論の構想 An Idea for a Monograph

ホームズは、タイプライターと犯罪について小論を書こうかと考えている、と話を続ける。この題には、前から少しばかり関心を寄せてきたという。来客は、そんな話につきあう暇はないとばかりに、落ち着かない様子で席を立とうとする。