Scene 04 · Notes

解説 場面 4「夜の呼び鈴」

この場面の解説

呼び鈴を聞いた二人は、訪問者が誰かを推測する。廊下で足音がすると、ホームズは客の椅子へ明かりを向けて迎える。

表現・文法のポイント

Who could come to-night?
couldはここでは過去の能力ではなく、今夜来る人物の可能性をいぶかる言い方。「こんな夜に誰だろう」という疑問である。
I take it that
take it that ...で「…だと考える、理解する」。ホームズは断定ではなく、自分の見立てとして訪問者を推測している。

全文の対訳

"Why," said I, glancing up at my companion, "that was surely the bell. Who could come to-night? Some friend of yours, perhaps?"

「おや」と私は友人を見上げて言った。「今のは確かに呼び鈴だったね。今夜、いったい誰が来るんだろう。きみの友人か何かかな」

"Except yourself I have none," he answered. "I do not encourage visitors."

「きみ以外には一人もいないよ」と彼は答えた。「私は訪問客を歓迎しないからね」

"A client, then?"

「それなら依頼人か」

"If so, it is a serious case. Nothing less would bring a man out on such a day and at such an hour. But I take it that it is more likely to be some crony of the landlady's."

「だとすれば重大な事件だ。この天気、この時刻に人を外へ連れ出すのは、それほどの用事しかない。だが、下宿のおかみの親しい知り合いが来た可能性の方が高いと思うね」

Sherlock Holmes was wrong in his conjecture, however, for there came a step in the passage and a tapping at the door. He stretched out his long arm to turn the lamp away from himself and towards the vacant chair upon which a newcomer must sit.

しかしホームズの推測は外れ、廊下で足音がして、扉を軽くたたく音がした。彼は長い腕を伸ばし、ランプを自分から遠ざけ、新たな客が座るはずの空いた椅子の方へ向けた。

"Come in!" said he.

「どうぞ」と彼は言った。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • landlady's(ランドレイディーズ)… 下宿の女主人の
  • conjecture(コンジェクチャー)… 推測・憶測
  • companion(カンパニオン)… 仲間・相棒
  • encourage(エンカリッジ)… 歓迎する・促す・励ます
  • glancing(グラーンスィング)… ちらりと見ながら・ちらっと見ること
  • newcomer(ニューカマー)… 新しく来た人
  • passage(パスィッジ)… 廊下・通路・(文章の)一節
  • tapping(タッピング)… 軽くたたきながら・軽くたたいている

次の場面:濡れた外套 The Wet Coat

部屋に入ってきたのは、身なりの整った若い男だ。傘からは雨が滴り、長い防水外套は嵐の強さを物語っている。ランプに照らされた顔には、深い心配の影がある。ホームズは客を迎え、まず濡れた外套と傘を預かろうとする。青年は暖かな部屋を見回している。