Scene 16 · Notes

解説 場面 16「父への便り」

この場面の解説

父が屋敷へ移って約一年後、封筒と五つの種を受け取る。封筒には三つの文字に加え、書類を日時計の上へ置けという指示があった。

表現・文法のポイント

now that the same thing had come upon himself
now thatは事情の変化を理由として示す。「今や同じことが自分に起きたので」という意味で、以前は笑っていた父の反応との違いを表す。
My heart had turned to lead
心臓が鉛に変わったという比喩。ジョンが強い恐怖で、胸が重く沈むように感じたことを表す。leadは金属の鉛の意味である。

全文の対訳

"Well, it was the beginning of '84 when my father came to live at Horsham, and all went as well as possible with us until the January of '85. On the fourth day after the new year I heard my father give a sharp cry of surprise as we sat together at the breakfast-table. There he was, sitting with a newly opened envelope in one hand and five dried orange pips in the outstretched palm of the other one. He had always laughed at what he called my cock-and-bull story about the colonel, but he looked very scared and puzzled now that the same thing had come upon himself.

「さて、父がホーシャムで暮らし始めたのは八四年の初めで、八五年一月までは、私たちの暮らしは申し分なく順調でした。新年が明けて四日目、一緒に朝食の席に着いていると、父が驚きの鋭い声を上げるのを聞きました。父は片手に開けたばかりの封筒を持ち、もう片方の広げた手のひらには、乾いたオレンジの種が五つ載っていました。おじのことを話すと、父はいつも私の荒唐無稽な作り話だと笑っていたのに、同じことが自分の身に降りかかった今は、とてもおびえ、当惑していました。

"'Why, what on earth does this mean, John?' he stammered.

「『おい、ジョン、いったいこれはどういう意味だ』と、父はどもりました。

"My heart had turned to lead. 'It is K. K. K.,' said I.

「私の心臓は鉛になったようでした。『K・K・Kだよ』と私は言いました。

"He looked inside the envelope. 'So it is,' he cried. 'Here are the very letters. But what is this written above them?'

「父は封筒の中を見ました。『そのとおりだ』と叫びました。『確かにその文字がある。だが、その上に書いてあるのは何だ』

"'Put the papers on the sundial,' I read, peeping over his shoulder.

「『書類を日時計の上に置け』と、私は父の肩越しにのぞいて読みました。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • breakfast-table(ブレックファストテイブル)… 朝食の食卓
  • cock-and-bull(コックアンドブル)… 荒唐無稽な・でたらめな
  • outstretched(アウトストレッチト)… 差し伸べた・いっぱいに伸ばした
  • beginning(ビギニング)… 始まり・初め
  • stammered(スタマード)… どもりながら言った
  • january(ジャニュアリー)… 一月
  • colonel(カーネル)… 大佐
  • puzzled(パズルド)… 途方に暮れた・困惑した

次の場面:日時計の指示 The Sundial Message

父が受け取った封筒には、三つの文字だけでなく、短い指示も記されている。ジョンは、父と交わした言葉をホームズたちに伝える。書類とは何を指し、日時計とはどこにあるのか。食卓で続く問いと答えの中で、父と息子は、目の前の便りをそれぞれの考えで受け止める。