Scene 26 · Notes

解説 場面 26「差し迫る用心」

この場面の解説

ホームズは危険を除くことを優先し、謎の解明と処罰はその後だと説明する。青年が帰り支度を始めると、道中の安全にも厳しく注意を促す。

表現・文法のポイント

we have our web to weave
have+目的語+to不定詞で、これからすべき仕事を示す。網を織るという比喩を使い、こちらの準備はこれからで、相手の工作はすでにできていると対比する。
cannot guard yourself too closely
cannot ... too ...は「どれほど…してもしすぎではない」。用心が行き届かないと責めるのではなく、最大限の注意を求めている。

全文の対訳

"Do not think of revenge, or anything of the sort, at present. I think that we may gain that by means of the law; but we have our web to weave, while theirs is already woven. The first consideration is to remove the pressing danger which threatens you. The second is to clear up the mystery and to punish the guilty parties."

「今は復讐や、それに類することを考えてはいけません。それは法の力で果たせるかもしれませんが、こちらの網はこれから織るのであり、相手の網はすでに織り上がっているのです。まず考えるべきは、あなたを脅かす差し迫った危険を取り除くことです。謎を解き、罪のある者を罰するのは、その次です」

"I thank you," said the young man, rising and pulling on his overcoat. "You have given me fresh life and hope. I shall certainly do as you advise."

「ありがとうございます」と青年は立ち上がり、外套に袖を通して言った。「新しい命と希望を頂きました。必ずご忠告どおりにします」

"Do not lose an instant. And, above all, take care of yourself in the meanwhile, for I do not think that there can be a doubt that you are threatened by a very real and imminent danger. How do you go back?"

「一瞬も無駄にしないでください。そして何より、当面はご自身の身に気をつけてください。実際に、しかも目前に迫った危険があなたを脅かしていることに、疑う余地はないと思います。どうやってお帰りになりますか」

"By train from Waterloo."

「ウォータールーから汽車で」

"It is not yet nine. The streets will be crowded, so I trust that you may be in safety. And yet you cannot guard yourself too closely."

「まだ九時前です。通りは人が多いでしょうから、安全であることを願っています。それでも、どれほど厳重に用心してもしすぎることはありません」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • consideration(コンスィダレイション)… 考慮すべきこと・考え・考慮・思いやり
  • threatened(スレトゥンド)… 脅かされている・(〜する)おそれがあった・脅した
  • threatens(スレトゥンズ)… 脅す(threaten の3人称単数)・〜するおそれがある
  • meanwhile(ミーンワイル)… その間・当面は
  • pressing(プレッスィング)… 差し迫った・急を要する
  • overcoat(オウヴァーコウト)… オーバーコート・外套
  • imminent(イミナント)… 目前に迫った・差し迫った
  • revenge(リヴェンジ)… 復讐・仕返し

次の場面:帰路の相談 Planning the Return

帰り道での用心を話すホームズに、ジョンは自分の備えを伝える。ホームズは、この相談をどこから調べるつもりなのか。青年はこれからの連絡について言葉を交わす。窓の外では、風がなお鳴り、雨が打ちつけている。嵐の夜の部屋で、帰路を前にした会話が続く。