Scene 42 · Notes

解説 場面 42「もう一度の呼び鈴」

この場面の解説

卿が花嫁を許すつもりはないと言い切ったところで、再び呼び鈴が鳴る。ホームズはフランシス・ヘイ・モールトン夫妻を迎え入れ、卿と向き合わせる。

表現・文法のポイント

be more successful
may be more successfulは過去の成功ではなく、これから卿を説得するのにより成功するかもしれないという意味である。
have been shamefully used
have been shamefully usedは卿自身が恥じたのではなく、恥ずべき扱いを受けたと訴える受動表現である。

全文の対訳

"I will make no allowance. I am very angry indeed, and I have been shamefully used."

「酌量などしません。私は実に腹を立てているし、実に恥ずべき扱いを受けたのです」

"I think that I heard a ring," said Holmes. "Yes, there are steps on the landing. If I cannot persuade you to take a lenient view of the matter, Lord St. Simon, I have brought an advocate here who may be more successful." He opened the door and ushered in a lady and gentleman. "Lord St. Simon," said he "allow me to introduce you to Mr. and Mrs. Francis Hay Moulton. The lady, I think, you have already met."

「呼び鈴が鳴ったようです」とホームズは言った。「ええ、踊り場に足音がします。セント・サイモン卿、私がこの件を寛大にご覧になるよう説得できないのなら、私よりうまくお話できる弁護人をここへお連れしました」彼は扉を開け、一組の男女を招き入れた。「セント・サイモン卿」と彼は言った。「フランシス・ヘイ・モールトンご夫妻をご紹介させてください。こちらのご婦人には、すでにお会いになっていると思います」

At the sight of these newcomers our client had sprung from his seat and stood very erect, with his eyes cast down and his hand thrust into the breast of his frock-coat, a picture of offended dignity. The lady had taken a quick step forward and had held out her hand to him, but he still refused to raise his eyes. It was as well for his resolution, perhaps, for her pleading face was one which it was hard to resist.

新たな二人を見るなり、依頼人は座席から跳び上がった。目を伏せ、フロックコートの胸元に手を差し入れ、背筋をぴんと伸ばして立つ姿は、傷つけられた威厳そのものだった。女性はすぐに一歩踏み出し、彼へ手を差し出したが、彼はなおも目を上げようとしなかった。おそらく、その決意にとってはそれでよかったのだろう。彼女の懇願するような顔には、抗い難いものがあったからだ。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • cast(キャスト)… 投げかけた・型・型取りした模型・(cast a gloomで)暗い影を落とした・向けた・投げた・配役難
  • thrust(スラスト)… 突き出すこと・押し込んだ・突き出した・突き出した・押しやった(thrust の過去形・過去分詞)・突き出す難
  • frock-coat(フロックコウト)… フロックコート(ひざ丈の男性用上着)難
  • shamefully(シェイムフリー)… 恥ずべきほどひどく
  • resolution(レゾルーション)… 決断力・決意・解決
  • allowance(アラウアンス)… 酌量・大目に見ること
  • introduce(イントロデュース)… 紹介する・持ち込む・導入する
  • newcomers(ニューカマーズ)… 新たに来た人(複数)・新参者(複数)

次の場面:顔を上げない卿 His Lordship Looks Away

再び鳴った呼び鈴のあと、ホームズはフランシス・ヘイ・モールトンと、その妻となったハティを221Bへ迎え入れた。セント・サイモン卿は椅子から立ち上がり、胸に手を入れたまま目を伏せている。ハティは彼へ一歩近づき、手を差し出す。