Scene 03 · Notes

解説 場面 3「守衛のピーターソン」

この場面の解説

ホームズは、これまでに扱った犯罪ではない事件を挙げ、今度の一件も同じ罪のない部類に入るだろうと言う。そして、この帽子は守衛のピーターソンの戦利品なのだと告げる。ワトソンはそれを、ピーターソン自身の帽子のことだと受け取る。

表現・文法のポイント

You allude to
allude to は「〜のことを言う・ほのめかす」。ワトソンは事件の名を挙げていないが、ホームズはその心のうちを読み取り、「きみが言っているのは〜のことだね」と先回りして答えている。to が三つ並び、三つの事件を順に挙げている。
I have no doubt that
「〜であることを疑わない」、つまり「きっと〜だ」という強い確信を表す言い方。I am sure that とほぼ同じだが、ややかたく改まった響きがある。ホームズの話しぶりによく出てくる表現だ。
It is to him that this trophy belongs.
It is 〜 that ... の強調構文で、to him を強めている。「この戦利品が属しているのは、ほかならぬ彼なのだ」。trophy は「戦利品」で、拾った古帽子をおどけて大げさに呼んでいる。

背景・時代

守衛(commissionaire)
退役した兵士などが就いた制服の仕事で、ホテルや劇場、会社の入り口に立って案内や警備をしたり、伝言や荷物を届けたりした。制服姿なので、街なかでは役人のようにも見えた。

全文の対訳

"Precisely. You allude to my attempt to recover the Irene Adler papers, to the singular case of Miss Mary Sutherland, and to the adventure of the man with the twisted lip. Well, I have no doubt that this small matter will fall into the same innocent category. You know Peterson, the commissionaire?"

「そのとおり。アイリーン・アドラーの書類を取り戻そうとした件や、メアリー・サザーランド嬢の奇妙な事件、それに唇のねじれた男の冒険のことだね。まあ、今度のちょっとした一件も、きっと同じ罪のない部類に入るだろう。守衛のピーターソンを知っているね?」

"Yes."

「ああ」

"It is to him that this trophy belongs."

「この戦利品は彼のものなのだ」

"It is his hat."

「彼の帽子なのかい」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • allude(アルード)… (allude to で)〜のことを言う・ほのめかす難
  • commissionaire(コミッショネア)… 守衛・(ホテルや劇場などの)案内係難
  • precisely(プリサイスリー)… その通り・正確に
  • singular(スィンギュラー)… 奇妙な・独特の
  • innocent(イノセント)… 罪のない・無害な・無邪気な
  • category(カテゴリー)… 部類・種類
  • attempt(アテンプト)… 試みる・企てる・試み
  • recover(リカヴァー)… 取り戻す・回復する

次の場面:夜の通りで A Scuffle in the Street

帽子はピーターソンのものではない、とホームズは言う。持ち主はわからず、彼が拾ったものなのだ。クリスマスの朝四時ごろ、宴会帰りのピーターソンは、トテナム・コート・ロードを家へ向かって歩いていた。ホームズは、そこで起きた騒ぎの一部始終をワトソンに語りはじめる。