第 1 章(I)帽子の推理The Adventure of the Blue Carbuncle

クリスマス明けの朝、ワトソンが訪ねると、ホームズは古い帽子を眺めていた。守衛のピーターソンが、夜の通りの騒ぎのあとに拾ってきたものだ。持ち主の名前は分からない。ホームズは帽子の大きさや傷み、埃や染みから、持ち主の人となりを読み解いていく。

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  1. 01クリスマス明けの訪問 A Visit After Christmasクリスマスから二日たった朝、ワトソンは季節の挨拶をしに、友人シャーロック・ホームズを訪ねる。ホームズは紫のガウン姿でソファにくつろぎ、そばの椅子の背には、ひどく古びたフェルトの帽子が一つ掛かっている。椅子の上にはレンズとピンセット。どうやら何かを調べている最中らしい。
  2. 02ありふれた帽子 A Homely Old Hatホームズは、帽子の件はまったくつまらないものだと言いながら、おもしろく、ためにさえなる点があるとも言う。外は厳しい冷え込みで、窓には氷の結晶がびっしり張りついている。ワトソンは肘掛け椅子に腰を下ろし、暖炉の火で手を温める。
  3. 03守衛のピーターソン Peterson the Commissionaire犯罪とは無縁の妙な出来事なら、これまでにもいくつも扱ってきた。ワトソンにそう言われて、ホームズはアイリーン・アドラーの件などを挙げ、今度のちょっとした一件もきっと同じ部類だろうと言う。そしてホームズは、この古い帽子にかかわる人物として、顔なじみの守衛の名を出す。
  4. 04夜の通りで A Scuffle in the Street帽子はピーターソンのものではない、とホームズは言う。持ち主はわからず、彼が拾ったものなのだ。クリスマスの朝四時ごろ、宴会帰りのピーターソンは、トテナム・コート・ロードを家へ向かって歩いていた。ホームズは、そこで起きた騒ぎの一部始終をワトソンに語りはじめる。
  5. 05持ち主の手がかり A Clue to the Ownerピーターソンの手には、逃げた男の帽子とガチョウが残された。当然、持ち主に返したのだろうと尋ねるワトソンに、ホームズは、そこが問題なのだと答える。さて、持ち主へつながる手がかりは、いったい何かあるのだろうか。
  6. 06帽子を手に取る The Hat in My Hands持ち主の手がかりは、帽子から推理できることだけ。そんなのは冗談だろうと言うワトソンに、ホームズはレンズを差し出し、きみなら何が読み取れるかと問いかける。ワトソンは古ぼけた帽子を手に取り、裏地やつば、あちこちの染みを、いささか気の進まない様子で調べはじめる。
  7. 07ホームズの読み What Holmes Infers何もわからないと言って帽子を返したワトソンに、ホームズは、きみには何もかも見えているのに、そこから推理する勇気が足りないだけだと言う。そして帽子を手に取ると、いつもの独特のまなざしでじっと見つめ、持ち主について読み取ったことを、一つずつ語りはじめる。
  8. 08頭の大きさ A Question of Sizeホームズは帽子から、持ち主が頭がよく、かつては裕福だったが落ちぶれ、妻の愛情も失っていると読み取ってみせる。思いがけない推理に、ワトソンは思わず声を上げる。ホームズはそれにかまわず、さらに推理を続ける。
  9. 09帽子留め The Hat-Securerクリスマス明けのベイカー街。守衛のピーターソンが置いていった古い帽子から、ホームズは持ち主の姿を次々に言い当てていく。頭の大きさで知性を読んだあと、彼は帽子の古さと品質に目を移す。ワトソンは、先見の明や品性の衰えまで分かるという話の根拠を問う。
  10. 10裏地と埃 Lining and Dustホームズは帽子の品質と帽子留めから、持ち主が落ちぶれたこと、先見の明が衰えたこと、それでも自尊心は残っていることを説明し終える。ワトソンは感心しながらも、残りの推理、つまり年齢や髪のこと、妻の愛情が冷めたことはどこから分かるのかと気になっている。
  11. 11ろうそくの染み Tallow Stainsホームズは帽子の裏地や埃から、持ち主の年齢や暮らしぶり、妻の愛情が冷めたことまでを説明してみせた。何にでも答えがあると感心しながら、ワトソンは残った最後の一つ、持ち主の家にはガスが引かれていないという推理の根拠を問いただす。