Scene 47 · Notes

解説 場面 47「裏庭のガチョウ」

この場面の解説

姉はクリスマスの贈り物にガチョウを一羽選ばせてくれると約束していた。ライダーは物置の裏で尾に縞のある白い大きなガチョウを捕まえ、石をのどの奥へ押し込んで餌袋まで送り込む。ところが鳥が暴れて群れに逃げ込み、出てきた姉に何をしていたのかと問われた彼は、いちばん太ったのを確かめていたのだとごまかす。

表現・文法のポイント

the pick of her geese
the pick of 〜 は「〜の中から好きなものを選ぶ権利」や「〜の選り抜き」。have the pick of her geese で「姉のガチョウの中から好きな一羽を選べる」という意味になる。
as good as her word
be as good as one's word は「約束をきちんと守る」。言った言葉と同じだけ当てになる人、という発想の慣用句だ。姉が約束どおり一羽くれると、ライダーは確信していた。
out came my sister
my sister came out の語順を入れ替えた倒置で、out を前に出して勢いを出している。物語の語りで、人が急に出てくる場面によく使われる形だ。
broke loose
break loose は「(つかまれていたものが)振りほどいて逃げる」。loose は「解き放たれた」という形容詞で、動きの結果の状態を表している。押さえていた鳥が手から逃げたところだ。

背景・時代

クリスマスのガチョウ(Christmas goose)
当時のイギリスでは、クリスマスのごちそうにガチョウを焼いて食べる家庭が多かった。家禽を育てる姉が、弟へのクリスマスの贈り物に一羽選ばせると約束していたのもそのためだ。

全文の対訳

"My sister had told me some weeks before that I might have the pick of her geese for a Christmas present, and I knew that she was always as good as her word. I would take my goose now, and in it I would carry my stone to Kilburn. There was a little shed in the yard, and behind this I drove one of the birds—a fine big one, white, with a barred tail. I caught it, and prying its bill open, I thrust the stone down its throat as far as my finger could reach. The bird gave a gulp, and I felt the stone pass along its gullet and down into its crop. But the creature flapped and struggled, and out came my sister to know what was the matter. As I turned to speak to her the brute broke loose and fluttered off among the others.

「姉は何週間か前に、クリスマスの贈り物として、うちのガチョウから好きなのを一羽選んでいいと言ってくれていました。姉が必ず約束を守る人だということも、私は知っていました。そのガチョウを今もらって、その中に石を入れてキルバーンまで運べばいい、と考えたのです。庭には小さな物置があり、私はその裏へ鳥を一羽追い込みました。尾に縞のある、白くて大きな立派なやつです。私はそれを捕まえ、くちばしをこじ開けて、指の届くかぎり奥まで石をのどに押し込みました。鳥はごくりと飲み込み、石が食道を通って餌袋へ下りていくのが分かりました。ところがそいつが羽をばたつかせて暴れたものですから、何事かと姉が出てきました。私が姉のほうを振り向いて話しかけようとしたすきに、そいつは手を振りほどき、ばたばたとほかの鳥の中へ紛れ込んでしまいました。

"'Whatever were you doing with that bird, Jem?' says she.

「『ジェム、いったいその鳥に何をしてたのよ?』と姉は言いました。

"'Well,' said I, 'you said you'd give me one for Christmas, and I was feeling which was the fattest.'

「『いや』と私は言いました。『クリスマスに一羽くれるって言ってただろう。どれがいちばん太ってるか、触って確かめてたんだよ』

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • barred(バード)… 格子でふさがれた・閉ざされた・縞模様のある(barred tail で「縞のある尾」)難
  • prying(プライイング)… (pry open で)こじ開けている・詮索している難
  • thrust(スラスト)… 突き出した・押しやった(thrust の過去形・過去分詞)・突き出す難
  • gulp(ガルプ)… ごくりと飲み込むこと・ひと飲み・がぶ飲みする難
  • gullet(ガレット)… 食道・のど難
  • flapped(フラップト)… 羽ばたいた・ぱたぱた動いた(flap の過去形)難
  • brute(ブルート)… 乱暴者・獣・粗野な男難
  • fluttered(フラタード)… ばたばた羽ばたいて飛んだ・ひらひら舞った難

次の場面:姉とのやりとり Maggie and Jem

姉の家の裏庭で、小男は一羽のガチョウを追い回していた。ところが鳥は手を振りほどいて群れの中へ逃げ込み、物音を聞いた姉が出てくる。何をしていたのかと問われ、小男はクリスマスに一羽くれるという約束を持ち出して、その場を取りつくろう。