第 4 章(IV)ベイカー街の夜The Adventure of the Blue Carbuncle

市場の屋台で、小柄な男が商人に食い下がっている。男もまた、あるガチョウの行方を必死に探しているらしい。ホームズは男に声をかけ、馬車で暖かなベイカー街の部屋へ連れて帰る。暖炉の火が燃える居間で、ホームズは見知らぬ客と向き合う。

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  1. 36小男を追って After the Little Man商人ブレッキンリッジの屋台で騒ぎが起こり、ネズミのような顔の小男が、ガチョウのことでしつこく尋ねてどなりつけられる。一羽は自分のものだったと訴えても相手にされず、小男は闇の中へ逃げていく。その様子を見ていたホームズは、すかさずワトソンに声をかける。
  2. 37ガチョウを探す男 A Man Seeking Geeseコヴェント・ガーデンの屋台で商人に追い払われた小男を、ホームズは人混みを縫って追いかけ、肩に手を触れる。振り向いた男の顔は真っ青だ。男は震える声で、あなたは誰か、なぜこの件を知っているのかと問い返す。ホームズは落ち着いて自分の名を告げる。
  3. 38本当の名前 The Real Nameホームズは、小男が追うガチョウの行方を言い当て、通りかかった四輪馬車を呼び止める。暖かい部屋で話そうと誘ったうえで、ホームズは手助けをする相手の名前を尋ねる。小男はほんの一瞬ためらってから、横目でこちらをうかがいつつ口を開く。
  4. 39ベイカー街に戻って Back at Baker Street本当の名前を明かした小男は、ホームズにうながされて四輪馬車に乗り込む。ホームズとワトソンも続き、三人を乗せた馬車は、凍える夜の街をベイカー街へ向かう。車中では誰も口をきかない。小男は落ち着かない様子で、二人の顔をかわるがわる見つめている。
  5. 40ガチョウの行き先 Where the Goose Wentベイカー街の居間で、ホームズは小男を籐椅子に座らせ、自分はスリッパにはき替える。小男が知りたいのはガチョウの群れではなく、尾に黒い縞のある白いガチョウ一羽の行方だろうと、ホームズは言い当てる。小男は身を震わせ、その鳥の行き先を聞こうと答えを待つ。
  6. 41暖炉の前で By the Fire小男が探していたガチョウは、思いがけない形でこの居間に届いていたらしい。ホームズの言葉に、小男はよろめくように立ち上がり、青ざめたまま立ちつくしている。暖炉の火だけがぱちぱちと鳴る中、ホームズは小男の顔をじっと見つめ、静かに口を開く。
  7. 42ホテルの部屋 My Lady's Room倒れかけた小男は、ワトソンの手で椅子に戻され、ブランデーを飲まされる。頬にいくらか赤みが戻ったものの、小男はおびえた目でホームズを見つめたまま座っている。ホームズは落ち着いた声で問いを重ね、小男はかすれた声でそれに短く答える。
  8. 43敷物の上で On the Rugかすれた声の答えを聞くと、ホームズは小さくうなずく。暖炉の火が揺れる居間で、ホームズは手もとの鎖の輪を一つずつつないでいくように、自分の考えを筋道立てて語っていく。小男は青ざめたまま、黙ってそれを聞いている。
  9. 44本当のことを The Whole Truth居間の空気は張りつめたままだ。ホームズの厳しい声に、小男は敷物の上から身を起こし、ふたたび椅子に戻る。肩を落とした小男は、うろたえながら、なんとか次の言葉を探している。ホームズは冷ややかな目で、その様子をじっと見すえている。
  10. 45姉の家へ To My Sister's House椅子に戻った小男は、ホームズに、ガチョウの件について本当のことを残らず話せと迫られる。乾いた唇を舌でなめると、彼はゆっくりと口を開く。暖炉の火が揺れる居間で、ホームズとワトソンは、小男の長い話に黙って耳を傾ける。
  11. 46キルバーンの友人 A Friend in Kilburn小男の話は続く。数日前のこと、彼はブリクストン・ロードに住む姉の家にいた。裏庭に出てパイプをくわえ、これからどうするのがいちばんよいかと、ひとり考えをめぐらせている。そのとき彼の頭に、ある古い知り合いの顔が浮かぶ。
  12. 47裏庭のガチョウ Geese in the Yard小男の話は、キルバーンに住む古い知り合いのことに移る。その男のもとへ行こうと決めたものの、彼にはまだ気がかりなことがある。姉の家の裏庭で、塀にもたれてガチョウを眺めていた小男の頭に、ふと、ある考えがひらめく。
  13. 48姉とのやりとり Maggie and Jem姉の家の裏庭で、小男は一羽のガチョウを追い回していた。ところが鳥は手を振りほどいて群れの中へ逃げ込み、物音を聞いた姉が出てくる。何をしていたのかと問われ、小男はクリスマスに一羽くれるという約束を持ち出して、その場を取りつくろう。
  14. 49キルバーンで At Kilburn姉はしぶしぶ承知し、小男は自分で選んだ鳥をその場でしめてもらう。鳥を抱えた彼は、凍える夜道をキルバーンの古い知り合いのもとへ急ぐ。暖炉の前で語る小男の声は震えている。話はいよいよ、核心へと近づいていく。
  15. 50商人のもとへ Back to the Salesmanキルバーンで、何かとんでもない間違いが起きたと知った小男は、鳥をそこに置いたまま姉の家へ駆け戻る。だが、裏庭には一羽の鳥も見当たらない。姉に問いただした小男は、鳥がどこへ行ったのかを知り、ふたたび夜の街へ駆け出していく。
  16. 51長い沈黙 A Long Silence小男の長い話がようやく終わる。彼は両手に顔をうずめ、身を震わせてむせび泣いている。居間には長い沈黙が続き、聞こえるのは荒い息づかいと、ホームズが指でテーブルの縁を規則正しくたたく音だけだ。ワトソンは黙って友の顔をうかがう。
  17. 52事件のあとで After It All長い沈黙のあと、夜のベイカー街の居間にはまた静けさが戻る。暖炉の火だけが静かに燃えている。ホームズは陶製のパイプに手を伸ばし、ワトソンを相手に、この奇妙な事件の幕引きについての自分の考えを、ゆっくりと語り始める。