Scene 49 · Notes

解説 場面 49「キルバーンで」

この場面の解説

キルバーンの仲間のもとでガチョウを開くと、石はどこにもなかった。姉の家へ駆け戻ると、鳥はすべてコヴェント・ガーデンの商人ブレッキンリッジに売られたあとだった。しかも尾に縞のある白いガチョウは二羽いて、姉にも見分けがつかなかったという。

表現・文法のポイント

a man that it was easy to tell a thing like that to
関係代名詞 that の節の最後に前置詞 to が残った形で、tell a thing like that to a man(そういうことを男に話す)がもとになっている。「そんな話を気軽に打ち明けられる男」という意味だ。
My heart turned to water
turn to water は「水に変わる」。心臓が水になる、つまり勇気や気力が一気に失せて、血の気が引くような恐怖を表す比喩だ。石が見つからなかった瞬間の衝撃が込められている。
There was not a bird to be seen there.
not a 〜 to be seen は「〜が一つも見当たらない」。not a bird は no bird より強い否定で、「ただの一羽も」という響きになる。to be seen は「見られるべき」から「目に入る」の意味。
I could never tell them apart
tell A apart は「A を見分ける、区別する」。tell にはここで「区別する」の意味がある。never と合わせて、どうしても見分けがつかなかったと言っている。

全文の対訳

"Well, I did what she said, Mr. Holmes, and I carried the bird all the way to Kilburn. I told my pal what I had done, for he was a man that it was easy to tell a thing like that to. He laughed until he choked, and we got a knife and opened the goose. My heart turned to water, for there was no sign of the stone, and I knew that some terrible mistake had occurred. I left the bird, rushed back to my sister's, and hurried into the back yard. There was not a bird to be seen there.

「それで、ホームズさん、私は言われたとおりにして、その鳥をはるばるキルバーンまで運びました。仲間には自分のしたことを話しました。そういうことを気軽に打ち明けられる男だったのです。彼はむせるほど笑い、私たちはナイフを持ってきてガチョウを開きました。私は血の気が引きました。石はどこにも見当たらず、何かとんでもない間違いが起きたのだと分かったからです。私は鳥をそこに置いたまま姉の家へ駆け戻り、急いで裏庭に入りました。ところが、そこには鳥が一羽も見当たりませんでした。

"'Where are they all, Maggie?' I cried.

「『マギー、鳥はみんなどこへ行ったんだ?』と私は叫びました。

"'Gone to the dealer's, Jem.'

「『商人のところへ行ったわよ、ジェム』

"'Which dealer's?'

「『どこの商人だい?』

"'Breckinridge, of Covent Garden.'

「『コヴェント・ガーデンのブレッキンリッジよ』

"'But was there another with a barred tail?' I asked, 'the same as the one I chose?'

「『でも、尾に縞のあるのがもう一羽いたのかい?』と私は尋ねました。『こっちが選んだのとそっくりなのが?』

"'Yes, Jem; there were two barred-tailed ones, and I could never tell them apart.'

「『ええ、ジェム。尾に縞のあるのが二羽いたのよ。私にはどうしても見分けがつかなかったわ』

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • barred(バード)… 格子でふさがれた・閉ざされた・縞模様のある(barred tail で「縞のある尾」)難
  • barred-tailed(バードテイルド)… 尾に縞のある難
  • occurred(オカード)… 起こった・生じた・思い浮かんだ
  • dealer's(ディーラーズ)… 商人の店・商人のところ(dealer's)・商人の
  • hurried(ハリッド)… 急いで行った・急いだ
  • choked(チョウクト)… むせた・息が詰まった・窒息させた
  • rushed(ラッシュト)… 駆けつけた・急いだ
  • goose(グース)… ガン・ガチョウ(wild goose で野ガン)

次の場面:商人のもとへ Back to the Salesman

キルバーンで、何かとんでもない間違いが起きたと知った小男は、鳥をそこに置いたまま姉の家へ駆け戻る。だが、裏庭には一羽の鳥も見当たらない。姉に問いただした小男は、鳥がどこへ行ったのかを知り、ふたたび夜の街へ駆け出していく。