Scene 38 · Notes

解説 場面 38「教会の前で」

この場面の解説

結婚した二人がすぐ旅立てば計画は狂うが、二人は教会の前で別れ、彼女はいつも通り五時に公園へ出かけると言う。ホームズは食事を頼み、ワトソンに協力を求める。

表現・文法のポイント

found my plans very seriously menaced
find+目的語+過去分詞で「~が…されている状態だと気づく」。menace は「脅かす」。新婚の二人がすぐにも旅に出れば写真も持ち去られてしまう、という危機感を硬い語で表している。
Which are?
直前のホームズの言葉を受けて「それは何なんだい?」と促す省略疑問。ワトソンがホームズの話の続きをせかす、くだけた会話のリズムだ。
ringing the bell
呼び鈴を鳴らして下宿の者を呼び、食事を頼んでいる。答えをはぐらかして食べ物の話をするのはホームズらしい茶目っ気で、ワトソンの質問が空振りする笑いどころだ。

背景・時代

呼び鈴
当時の家には、部屋から紐やボタンで台所の鈴を鳴らし、使用人やおかみを呼ぶ仕組みがあった。ベイカー街の下宿でも、ホームズはこうして食事やお茶を運ばせている。

全文の対訳

"Well, I found my plans very seriously menaced. It looked as if the pair might take an immediate departure, and so necessitate very prompt and energetic measures on my part. At the church door, however, they separated, he driving back to the Temple, and she to her own house. 'I shall drive out in the park at five as usual,' she said as she left him. I heard no more. They drove away in different directions, and I went off to make my own arrangements."

「さて、私の計画はひどく危うくなった。二人がすぐにでも旅立ってしまいそうに見えたし、そうなれば私のほうも、大急ぎで思い切った手を打たなければならない。ところが教会の戸口で二人は別れ、彼はテンプルへ、彼女は自宅へと馬車で戻っていった。『いつものように五時に公園へ馬車で出かけます』と、彼女は別れぎわに言った。それ以上は聞こえなかった。二人は別々の方角へ去り、私は私で手はずを整えに出かけたというわけだ」

"Which are?"

「その手はずというのは?」

"Some cold beef and a glass of beer," he answered, ringing the bell. "I have been too busy to think of food, and I am likely to be busier still this evening. By the way, Doctor, I shall want your co-operation."

「冷たい牛肉とビールを一杯さ」と彼は答え、呼び鈴を鳴らした。「忙しくて食事のことなど考える暇もなかったし、今夜はもっと忙しくなりそうだからね。ところで先生、きみに協力してもらいたいのだが」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • menaced(メニスト)… 脅かされた・おびやかされた難
  • necessitate(ニセシテイト)… 必要とする・余儀なくさせる難
  • arrangements(アレインジメンツ)… 手はず・準備(複数)
  • immediate(イミーディアット)… 即座の・すぐの
  • departure(ディパーチャ)… 出発・旅立ち
  • energetic(エナジェティック)… 精力的な・エネルギッシュな
  • separated(セパレイティッド)… 別れた・分けた
  • measures(メジャズ)… 手段・対策(複数)

次の場面:協力の約束 A Willing Accomplice

法を破り、逮捕されるおそれがあってもかまわないかと念を押すホームズに、ワトソンは正しい目的のためならと迷わず応じる。下宿のおかみが運んできた食事をとりながら、ホームズは段取りを話しはじめる。七時に戻るアイリーンを、ブライオニー荘で迎えるのだという。