Scene 46 · Notes

解説 場面 46「馬車の音」

この場面の解説

どうやって探すのかと問うワトソンに、ホームズは探さずに彼女自身に見せてもらうのだと答える。断れはしないと言ったところで、車輪の音が聞こえてくる。

表現・文法のポイント

I will get her to show me.
get + 人 + to 不定詞で「(人)に〜してもらう/させる」。make のような強制ではなく、働きかけてそうさせるニュアンスだ。同じ使役の have なら to のない原形になる点も合わせて覚えたい。
She will not be able to.
文末の to は代不定詞で、直前の refuse を省略している。「断ることはできないだろう」の意。同じ動詞の繰り返しを避ける、会話でよく使う形だ。
the rumble of wheels
rumble は「ゴロゴロという低い響き」。石畳の道を走る馬車の車輪が立てる音を表す。音で馬車の到着を知らせ、場面が一気に動き出すきっかけになっている。

背景・時代

読みどころ
「探さない、見せてもらう」という謎めいた答えは、ここではまだ種明かしされない。ホームズがどんな手で彼女に写真のありかを示させるのか、発煙筒の準備と合わせて読者の興味をかき立てる仕掛けだ。

全文の対訳

"But how will you look?"

「でも、きみはどうやって探すんだい?」

"I will not look."

「探しはしないよ」

"What then?"

「じゃあ、どうするんだい?」

"I will get her to show me."

「彼女に見せてもらうのさ」

"But she will refuse."

「でも、断られるに決まっているよ」

"She will not be able to. But I hear the rumble of wheels. It is her carriage. Now carry out my orders to the letter."

「断れはしないさ。おや、車輪の音が聞こえる。彼女の馬車だ。さあ、私の指示を一字一句そのとおりに実行してくれたまえ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • carriage(キャリッジ)… 馬車・(鉄道の)客車
  • refuse(リフューズ)… 断る・拒む
  • rumble(ランブル)… ごろごろ・がらがらという音・とどろき
  • wheels(ウィールズ)… 車輪(複数)

次の場面:路上の乱闘 The Street Brawl

小型の四輪馬車がブライオニー荘の前に止まる。扉を開けようと駆け寄った浮浪者どうしがけんかを始め、近衛兵や研ぎ屋も加わって、馬車を降りた婦人は乱闘のただ中に取り残される。かばおうと飛び込んだホームズは叫び声をあげて倒れ、顔から血を流す。アイリーン・アドラーは石段の上から通りを振り返る。