Scene 09 · Notes

解説 場面 9「友への一例」

この場面の解説

ホームズは明白な事実にも落とし穴があると言い、レストレードに使えない方法で説を確かめると語る。例としてワトソンの寝室の窓が右にあると述べ、友人を驚かせる。

表現・文法のポイント

You know me too well to think
too A to Bは通常「AすぎてBできない」という形。ここでは、きみは私をよく知っているので自慢だとは思わないだろう、という意味になる。ホームズは自分の方法への自信を述べつつ、友人の理解を前提にしている。
the first example to hand
to handは「すぐ手近にある、取り上げられる」。first example to handは、特別に探してきた証拠ではなく、その場で使える一例ということ。ホームズは友人の身近な特徴から、自分の観察方法を説明しようとしている。

全文の対訳

"There is nothing more deceptive than an obvious fact," he answered, laughing. "Besides, we may chance to hit upon some other obvious facts which may have been by no means obvious to Mr. Lestrade. You know me too well to think that I am boasting when I say that I shall either confirm or destroy his theory by means which he is quite incapable of employing, or even of understanding. To take the first example to hand, I very clearly perceive that in your bedroom the window is upon the right-hand side, and yet I question whether Mr. Lestrade would have noted even so self-evident a thing as that."

「明白な事実ほど人を欺くものはない」と彼は笑って答えた。「それに、レストレードには少しも明白でなかった、別の明白な事実に、私たちは偶然ぶつかるかもしれない。彼の説を裏付けるか打ち壊すか、彼には使うことも、理解することさえまったくできない方法でそうしてみせる、と私が言っても、私をよく知るきみなら自慢だとは思わないだろう。手近な最初の例を挙げれば、きみの寝室の窓は右手にあるとはっきり分かる。それでもレストレードが、これほど自明なことにさえ気づくかどうか、私は疑っている」

"How on earth—"

「いったい、どうして……」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • self-evident(セルフエヴィデント)… 自明の・説明不要の難
  • right-hand(ライトハンド)… 右手の・右側の
  • deceptive(ディセプティヴ)… 人を欺く・見かけと違う・当てにならない
  • incapable(インケイパブル)… 〜できない・能力がない
  • employing(エンプロイイング)… 使っている
  • boasting(ボウスティング)… 自慢している・自慢すること
  • perceive(パースィーヴ)… 見て取る・察する・気づく
  • obvious(オブヴィアス)… 明白な・明らかな・見え透いた

次の場面:観察の筋道 Observation and Inference

ホームズは、ワトソンの身近な習慣を挙げて観察の筋道を説明する。几帳面な友人について普段から知っていることと、目の前に見えるものを結びつけるのだ。やがて二人は再び事件へ戻る。ホームズは新聞の検視審問の記事から、小さな点を取り上げようとする。