Scene 30 · Notes

解説 場面 30「夜の帰着」

この場面の解説

ホームズは現場を調べるまで雨が降らないことと、十分に休んで調べることの大切さを話す。青年も事情を知らず困惑していると報告し、ワトソンはアリスとの結婚に反対した彼の好みを疑問視する。

表現・文法のポイント

The glass still keeps very high
glassはここではグラスや窓ガラスではなく、気圧計を指す。highはその示度が高いこと。直後に、現場の地面を調べる前に雨が降らないことが重要だと続き、ホームズが天候を気にかけている理由が分かる。
sound at heart
soundはここでは音ではなく、健全でしっかりしていることを表す。at heartが内面を限定し、根は善良な人物だという評価になる。頭の回転や容姿についての説明とは別に、ホームズが青年の人柄を述べる。

全文の対訳

It was late before Sherlock Holmes returned. He came back alone, for Lestrade was staying in lodgings in the town.

シャーロック・ホームズが戻ったのは、夜も遅くなってからだった。レストレードは町の下宿に泊まっていたので、彼は一人で戻ってきた。

"The glass still keeps very high," he remarked as he sat down. "It is of importance that it should not rain before we are able to go over the ground. On the other hand, a man should be at his very best and keenest for such nice work as that, and I did not wish to do it when fagged by a long journey. I have seen young McCarthy."

「気圧計は、まだずいぶん高いところを指している」と彼は腰を下ろしながら言った。「現場を調べられるようになる前に、雨が降らないことが大切なのだ。一方、ああした精密な仕事では、心身ともに最高の状態で、感覚も最も鋭くなければならない。長旅で疲れ切っているときには、やりたくなかったのだ。若いマッカーシーには会ってきた」

"And what did you learn from him?"

「それで、彼から何が分かったんだい」

"Nothing."

「何も」

"Could he throw no light?"

「何も事情を明らかにできなかったのかい」

"None at all. I was inclined to think at one time that he knew who had done it and was screening him or her, but I am convinced now that he is as puzzled as everyone else. He is not a very quick-witted youth, though comely to look at and, I should think, sound at heart."

「まったく何も。一時は、誰がやったのか知っていて、その男か女をかばっているのかとも思った。だが今は、彼もほかの人々と同じくらい、何が何だか分からないのだと確信している。あまり頭の回転の速い青年ではない。もっとも、顔立ちはよく、根は善良だと思う」

"I cannot admire his taste," I remarked, "if it is indeed a fact that he was averse to a marriage with so charming a young lady as this Miss Turner."

「あのターナー嬢のように魅力的な若い女性との結婚に、もし本当に反対だったとしたら、彼の好みには感心できないね」と私は言った。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • keenest(キーネスト)… 最も熱心な・最も鋭い難
  • fagged(ファッグド)… 疲れ切った難
  • screening(スクリーニング)… かばっている・隠している・選別・上映難
  • comely(カムリー)… 顔立ちのよい・美しい難
  • averse(アヴァース)… 嫌がって・反対で(be averse to 〜)難
  • quick-witted(クウィックウィッティッド)… 頭の回転が速い・機転が利く
  • importance(インポータンス)… 重要性・重大さ
  • convinced(コンヴィンスト)… (be convinced thatで)〜だと確信している・納得している

次の場面:面会の話 The Visit Recounted

若いマッカーシーの人柄についてワトソンが口にすると、ホームズは短く応じる。夜の宿で語られるのは、刑務所での面会を通して知った青年の様子だ。父との口論について、二人は、まだ表に出ていなかった事情を考える。青年はなぜ黙っていたのか。