Scene 33 · Notes

解説 場面 33「朝の馬車」

この場面の解説

ターナーの病状は重く、外国での暮らしと事件の影響で健康を損なったとレストレードは伝える。マッカーシーに農場を無料で貸すなど、多くの援助を与えていたとも話す。

表現・文法のポイント

his life is despaired of
despair ofは「〜の望みを失う」。ここでは受動態になり、生存の望みがないと思われている、という重い病状を表す。ターナー自身が絶望しているのだという、本人の感情の説明ではない。
rent free
rent freeは家賃や借地料を払わずに、という意味。freeは自由に振る舞うことではなく、支払いが不要なことを表す。レストレードは農場を無償で使わせた事実を、ターナーの援助の一つに挙げている。

全文の対訳

There was no rain, as Holmes had foretold, and the morning broke bright and cloudless. At nine o'clock Lestrade called for us with the carriage, and we set off for Hatherley Farm and the Boscombe Pool.

ホームズが予言したとおり、雨は降らず、晴れた雲一つない朝を迎えた。九時にレストレードが馬車で迎えに来て、私たちはハザリー農場とボスコム池へ出発した。

"There is serious news this morning," Lestrade observed. "It is said that Mr. Turner, of the Hall, is so ill that his life is despaired of."

「今朝は、深刻な知らせがある」とレストレードは言った。「館のターナーさんは、もう助からないと思われるほど具合が悪いそうだ」

"An elderly man, I presume?" said Holmes.

「年配の方だろうね」とホームズは言った。

"About sixty; but his constitution has been shattered by his life abroad, and he has been in failing health for some time. This business has had a very bad effect upon him. He was an old friend of McCarthy's, and, I may add, a great benefactor to him, for I have learned that he gave him Hatherley Farm rent free."

「六十歳くらいだが、外国での暮らしで体を損ない、しばらく前から健康が衰えていた。この事件が、ひどくこたえたのだ。彼はマッカーシーの古い友人で、付け加えれば、大恩人でもあった。ハザリー農場を、ただで貸してやっていたと分かったからね」

"Indeed! That is interesting," said Holmes.

「ほう。それは興味深い」とホームズは言った。

"Oh, yes! In a hundred other ways he has helped him. Everybody about here speaks of his kindness to him."

「ああ、そうだとも。ほかにも数え切れないほど、助けてやっている。この辺りでは誰もが、あの男への親切を口にしているよ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • foretold(フォートウルド)… 予告した・予言した難
  • despaired(ディスペアド)… 望みを失った・絶望した難
  • benefactor(ベネファクター)… 恩人・後援者・寄付をした人難
  • constitution(コンスティチューション)… 体質・体力・憲法
  • cloudless(クラウドレス)… 雲ひとつない
  • shattered(シャタード)… ひどく損なわれた・打ち砕かれた
  • carriage(キャリッジ)… 鉄道の客室・客車・鉄道の客車・馬車・馬車・(鉄道の)客車
  • observed(オブザーヴド)… 認められた・目に留まった・述べた(会話の挿入句)・観察した・注意して見た(observe の過去分詞)

次の場面:道中の議論 A Discussion on the Road

馬車はハザリー農場へ近づいていく。ホームズは、二つの家の関係について聞いた話から、レストレードに一つの問いを投げる。だが、事実をどう読み取るかという点では、二人の意見は合わない。ワトソンを間に挟み、言葉の応酬が続いていく。