Scene 54 · Notes

解説 場面 54「語り始め」

この場面の解説

ターナーは、マッカーシーが二十年間自分を支配してきたと語る。金の採掘場で悪い仲間と酒に溺れ、ついには六人の強盗団に加わり、バララットのブラック・ジャックと呼ばれていた過去を明かす。

表現・文法のポイント

ready to turn my hand at anything
turn one's hand atは、ある仕事や活動に手を出すことを表す。ready toが、進んで何にでも取りかかる気持ちを添える。若い頃の自分が、行動の善悪を慎重に考えず、何にでも手を出そうとしていたという回想である。
the name I went under
go under a nameは、その名で知られている、その名を使っているという意味。ここでは名詞nameの後ろから、その名が何だったかを説明する。ブラック・ジャックという呼び名を、話し手自身が使っていたと明かしている。

全文の対訳

"You didn't know this dead man, McCarthy. He was a devil incarnate. I tell you that. God keep you out of the clutches of such a man as he. His grip has been upon me these twenty years, and he has blasted my life. I'll tell you first how I came to be in his power.

「あなた方は、この死んだ男、マッカーシーを知らなかったのです。あれは悪魔の化身でした。断言します。あの男のような者の手に落ちないよう、神がお守りくださいますように。二十年もの間、私はあの男に握られ、人生を台無しにされてきました。まず、どうしてあの男に支配されるようになったかを、お話ししましょう。

"It was in the early '60's at the diggings. I was a young chap then, hot-blooded and reckless, ready to turn my hand at anything; I got among bad companions, took to drink, had no luck with my claim, took to the bush, and in a word became what you would call over here a highway robber. There were six of us, and we had a wild, free life of it, sticking up a station from time to time, or stopping the wagons on the road to the diggings. Black Jack of Ballarat was the name I went under, and our party is still remembered in the colony as the Ballarat Gang.

「一八六〇年代の初め、金の採掘場でのことでした。私は若く、血気にはやり、無鉄砲で、何にでも手を出す気でいました。悪い仲間と付き合い、酒に走り、採掘鉱区では運に恵まれず、奥地へ逃げ込みました。要するに、こちらで言う追いはぎになったのです。仲間は六人で、時には牧場を襲い、時には採掘場への道を行く荷馬車を止め、荒っぽい自由な暮らしをしていました。私はバララットのブラック・ジャックと呼ばれ、一味は今でも、あの植民地でバララット一味として記憶されています。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • incarnate(インカーネット)… 肉体を備えた・〜の化身である難
  • clutches(クラッチズ)… 人を逃がさない支配・つかむ手難
  • blasted(ブラースティッド)… 打ち砕いた・台無しにした難
  • diggings(ディギングズ)… 金鉱地・採掘現場難
  • hot-blooded(ホットブラッディッド)… 血気盛んな・激しやすい難
  • companions(カンパニオンズ)… 仲間・連れ(companion の複数形)
  • reckless(レックレス)… 向こう見ずな・無謀な
  • robber(ロバー)… 強盗

次の場面:語りの続き The Story Goes On

客間で始まった話が続いている。ホームズは口を挟まずに耳を傾け、ワトソンもその言葉を追う。語られる出来事は、二人が思っていたよりも大きく広がっていく。来客の説明は時間をたどりながら、少しずつ今へ近づいていく。