Scene 55 · Notes

解説 場面 55「語りの続き」

この場面の解説

ターナーは金の護送隊を襲い、その御者だったマッカーシーの命を助けたと語る。金を得てイングランドへ渡ると土地を買い、妻と娘を持って更生に努めたが、そこへ再びマッカーシーが現れたという。

表現・文法のポイント

emptied four of their saddles
鞍を空にしたという言い方で、馬に乗っていた相手を撃ち落としたことを述べる。単に鞍に載せた荷物を下ろしたのではない。最初の一斉射撃で何が起こったかを、襲撃した本人が回想している。
turned over a new leaf
本の新しいページをめくることを、生活を改め、心を入れ替えることにたとえた表現。葉を裏返すという意味で読まない。直後のmake up for the pastが、過去の埋め合わせをしようとした姿勢を添えている。

全文の対訳

"One day a gold convoy came down from Ballarat to Melbourne, and we lay in wait for it and attacked it. There were six troopers and six of us, so it was a close thing, but we emptied four of their saddles at the first volley. Three of our boys were killed, however, before we got the swag. I put my pistol to the head of the wagon-driver, who was this very man McCarthy. I wish to the Lord that I had shot him then, but I spared him, though I saw his wicked little eyes fixed on my face, as though to remember every feature. We got away with the gold, became wealthy men, and made our way over to England without being suspected. There I parted from my old pals and determined to settle down to a quiet and respectable life. I bought this estate, which chanced to be in the market, and I set myself to do a little good with my money, to make up for the way in which I had earned it. I married, too, and though my wife died young she left me my dear little Alice. Even when she was just a baby her wee hand seemed to lead me down the right path as nothing else had ever done. In a word, I turned over a new leaf and did my best to make up for the past. All was going well when McCarthy laid his grip upon me.

「ある日、バララットからメルボルンへ金の護送隊が下ってきたので、私たちは待ち伏せて襲いました。相手の騎兵も六人、こちらも六人で、際どい勝負でしたが、最初の一斉射撃で四人を馬から撃ち落としました。しかし、獲物を手にするまでに、こちらの仲間も三人死にました。私は荷馬車の御者の頭に拳銃を突き付けましたが、それが、ほかならぬこのマッカーシーでした。あのとき撃っておけばと、神にかけて思います。しかし私は命を助けました。その意地の悪い小さな目が、私の顔立ちを一つ残らず覚えようとするかのように、じっとこちらを見ていたのにです。私たちは金を持って逃げ、裕福になり、疑われることなくイングランドへ渡りました。そこで昔の仲間と別れ、静かで堅実な暮らしに落ち着こうと決心したのです。たまたま売りに出ていたこの土地を買い、その金を得たやり方の埋め合わせに、いくらか善いことをしようと努めました。結婚もしました。妻は若くして死にましたが、大切な娘のアリスを残してくれました。まだ赤ん坊だった頃から、その小さな手は、それまでどんなものにもできなかったように、私を正しい道へ導いてくれる気がしたものです。要するに、私は心を入れ替え、過去の埋め合わせをしようと最善を尽くしました。すべてがうまくいっていたところへ、マッカーシーが私に取り付いたのです。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • convoy(コンヴォイ)… 輸送隊・護送隊難
  • troopers(トゥルーパーズ)… 騎馬警官・騎兵たち難
  • volley(ヴォリー)… 一斉射撃・斉射難
  • swag(スワッグ)… 盗品・略奪品難
  • wagon-driver(ワゴンドライヴァー)… 荷馬車の御者難
  • respectable(リスペクタブル)… 立派な・きちんとした・まともな
  • determined(ディターミンド)… 決心している・断固とした
  • suspected(サスペクティッド)… 見当をつけた・疑った(suspect の過去形)

次の場面:ある日の街角 A Meeting in Town

話は、ロンドンの街へ出た日のことに移る。来客は、リージェント街で出会った人物とのやり取りを振り返る。街角で始まった会話は、どのように進んだのだろう。ホームズとワトソンを前に、そこで交わされた言葉が順を追って語り直される。