Scene 56 · Notes

解説 場面 56「ある日の街角」

この場面の解説

ロンドンで再会したマッカーシーは、警察をほのめかして自分と息子を養うようターナーに迫った。二人は借地料も払わず住み続け、娘に過去を知られたくないターナーから多くの物を得た末、アリスまでも求めたという。

表現・文法のポイント

you can have the keeping of us
keepingはここでは人を養うこと、生活の面倒を見ることを指す。canは単に能力を尋ねるのではなく、相手にそうしてもらうという押し付けに使われる。すぐ後ろで警官の存在をほのめかす脅しが続く。
there was no shaking them off
there is noと動詞のing形を組み合わせ、〜するすべがない、不可能だと表す。shake offは振り払うこと。ここではマッカーシー親子から逃れられず、つきまとわれ続けたという回想の説明である。

全文の対訳

"I had gone up to town about an investment, and I met him in Regent Street with hardly a coat to his back or a boot to his foot.

「投資の用事でロンドンへ出たとき、リージェント街であの男に会いました。ろくな上着も靴も身に着けていませんでした。

"'Here we are, Jack,' says he, touching me on the arm; 'we'll be as good as a family to you. There's two of us, me and my son, and you can have the keeping of us. If you don't—it's a fine, law-abiding country is England, and there's always a policeman within hail.'

「『やあ、ジャック』と、あの男は私の腕に触れて言うのです。『おれたちは、あんたの家族も同然になってやろう。おれと息子の二人だから、養ってもらえるな。嫌だと言うなら……イングランドは、結構な、法を守る国だからな。呼べば届く所には、いつでも警官がいるんだぜ』

"Well, down they came to the west country, there was no shaking them off, and there they have lived rent free on my best land ever since. There was no rest for me, no peace, no forgetfulness; turn where I would, there was his cunning, grinning face at my elbow. It grew worse as Alice grew up, for he soon saw I was more afraid of her knowing my past than of the police. Whatever he wanted he must have, and whatever it was I gave him without question, land, money, houses, until at last he asked a thing which I could not give. He asked for Alice.

「それで、あの二人は西部へやってきました。振り払うすべはなく、それ以来ずっと、私のいちばんよい土地に、借地料も払わず住んでいるのです。休息も、平穏も、忘れる時もありませんでした。どこを向いても、あのずるくにやついた顔が、すぐそばにありました。アリスが成長するにつれ、事態はひどくなりました。私が警察よりも、娘に過去を知られることを恐れていると、あの男はすぐに気づいたからです。欲しいものは何でも手に入れねば気が済まず、私は土地も金も家も、何一つ逆らわずに渡しました。そうして、とうとう、渡せないものを求めてきたのです。アリスを求めてきたのです。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • law-abiding(ローアバイディング)… 法律を守る・遵法的な難
  • forgetfulness(フォゲットフルネス)… 忘却・忘れっぽさ難
  • investment(インヴェストメント)… 投資・投資案件
  • grinning(グリニング)… にやにや笑っている
  • whatever(ウォットエヴァー)… 〜するものは何でも・何が〜しても
  • cunning(カニング)… 悪賢い・ずる賢い
  • hardly(ハードリー)… (hardly ... whenで)〜するやいなや・ほとんど〜ない
  • within(ウィズィン)… 〜以内に・〜の内側で

次の場面:対話の続き The Conversation Continues

リージェント街での出会いから、来客の話はさらに先へ進む。その後、二人の間にはどのようなやり取りが続いたのか。ホームズとワトソンは黙って耳を傾け、客間には来客の声だけが響く。話は、聞く者が思っていたよりも長い年月にわたる。