Scene 60 · Notes

解説 場面 60「別れの挨拶」

この場面の解説

ターナーは最期に平安を与えられたと礼を述べ、宿を去る。ホームズは人の運命について思いを語る。その後、ジェームズは無罪となり、ターナーは七か月後に死去し、若い二人には幸福な将来の見込みがあると記される。

表現・文法のポイント

I never hear of such a case as this that I do not think
neverと後ろのnotを組み合わせ、そのような事件を聞いて思わないことはない、つまり聞くたびに必ず思うという意味を作る。ホームズは自分も運命次第で違う立場になり得たと振り返り、後ろで言葉を引用している。
on the strength of
何かの強さの上にという字面から、それを根拠に、それに基づいてという意味になる。ここではホームズが書いて弁護人へ提出した複数の異議が、ジェームズの無罪につながったことを、語り手が後日談として述べる。

全文の対訳

"Farewell, then," said the old man solemnly. "Your own deathbeds, when they come, will be the easier for the thought of the peace which you have given to mine." Tottering and shaking in all his giant frame, he stumbled slowly from the room.

「では、お別れです」と老人は厳かに言った。「いつかあなた方にも臨終の時が来たなら、私の最期に平安を与えてくださったことを思い、より安らかでいられるでしょう」大きな体をよろめかせ震わせながら、彼はゆっくりと、つまずくように部屋を出ていった。

"God help us!" said Holmes after a long silence. "Why does fate play such tricks with poor, helpless worms? I never hear of such a case as this that I do not think of Baxter's words, and say, 'There, but for the grace of God, goes Sherlock Holmes.'"

「神よ、我々をお助けください」と、長い沈黙のあと、ホームズは言った。「運命は、どうして哀れで無力な虫けらに、こんないたずらをするのだろう。このような事件を聞くたびに、バクスターの言葉を思い、『神のお恵みがなければ、あそこへ行くのはシャーロック・ホームズなのだ』と言わずにはいられないよ」

James McCarthy was acquitted at the Assizes on the strength of a number of objections which had been drawn out by Holmes and submitted to the defending counsel. Old Turner lived for seven months after our interview, but he is now dead; and there is every prospect that the son and daughter may come to live happily together in ignorance of the black cloud which rests upon their past.

ジェームズ・マッカーシーは、ホームズが書き起こして弁護人へ提出した数々の異議を根拠に、巡回裁判で無罪となった。老ターナーは私たちと会ってから七か月生きたが、今はもう亡くなっている。そして息子と娘は、それぞれの過去にかかる黒雲を知らずに、幸せに暮らすようになる見込みが十分にある。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • deathbeds(デスベッズ)… 臨終の床(複数)難
  • tottering(トタリング)… よろめいている・足元がおぼつかない難
  • acquitted(アクウィッティッド)… 無罪を言い渡された難
  • assizes(アサイズィズ)… 巡回裁判(昔のイギリスで地方を回って開かれた裁判)難
  • counsel(カウンセル)… 弁護士・助言難
  • objections(オブジェクションズ)… 異論・反対・難点
  • submitted(サブミッティッド)… 提出された・持ち込まれた
  • defending(ディフェンディング)… 弁護する・守っている

収録分はここまでです

続きの場面は順次追加します。ライブラリから他の話も読めます。