Scene 10 · Notes

解説 場面 10「本題の前に」

この場面の解説

ホームズは年収から自由な暮らしを想像するが、メアリーは同居中の収入を家へ渡していると説明する。継父が利子を受け取り、彼女自身はタイプの仕事で暮らすと分かると、ホームズは交際の本題へ進む。

表現・文法のポイント

into the bargain
into the bargain は「そのうえ、おまけに」。商取引の最中という意味ではなく、すでにあるものにさらに加わることを示す。ホームズは、年百ポンドの収入に、タイプの仕事で得るお金も上乗せされるものとして考えている。
as long as I live at home
as long as は、条件を表す「〜する限り」。ここでは実家に住んでいる間という期間の条件にもなっている。メアリーは、家族が収入を使うことを永久に認めたのではなく、一緒に暮らす間だけだと繰り返して説明する。

全文の対訳

"You interest me extremely," said Holmes. "And since you draw so large a sum as a hundred a year, with what you earn into the bargain, you no doubt travel a little and indulge yourself in every way. I believe that a single lady can get on very nicely upon an income of about £ 60."

「たいへん興味深いお話です」とホームズは言った。「年に百ポンドという大きな額を受け取り、そのうえ仕事の収入もあるのですから、きっと少しは旅行をなさったり、いろいろお好きなことを楽しんだりしているのでしょう。独身の女性なら、年に六十ポンドほどの収入でも、十分に暮らせると思います」

"I could do with much less than that, Mr. Holmes, but you understand that as long as I live at home I don't wish to be a burden to them, and so they have the use of the money just while I am staying with them. Of course, that is only just for the time. Mr. Windibank draws my interest every quarter and pays it over to mother, and I find that I can do pretty well with what I earn at typewriting. It brings me twopence a sheet, and I can often do from fifteen to twenty sheets in a day."

「ホームズさん、私はそれよりずっと少なくてもやっていけます。でも、家にいる間は家族の負担になりたくないので、一緒に住んでいる間だけ、そのお金を使ってもらっています。もちろん、あくまでその間だけです。ウィンディバンクさんが四半期ごとに私の利子を受け取り、母に渡しています。私はタイプを打って稼ぐお金で、かなりうまくやっていけるんです。一枚二ペンスになって、一日に十五枚から二十枚は打てることも多いんです」

"You have made your position very clear to me," said Holmes. "This is my friend, Dr. Watson, before whom you can speak as freely as before myself. Kindly tell us now all about your connection with Mr. Hosmer Angel."

「あなたの立場は、たいへんよく分かりました」とホームズは言った。「こちらは友人で医師のワトソンです。私に対してと同じように、遠慮なくお話しくださって構いません。では、ホズマー・エンジェルさんとの関わりについて、すべてお聞かせください」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • indulge(インダルジ)… ふける・思う存分する・甘やかす難
  • twopence(タペンス)… 2ペンス(英国の旧貨幣額)難
  • typewriting(タイプライティング)… タイプを打つこと・タイプの仕事・タイプを打つ仕事
  • connection(コネクション)… 関連・つながり・接続
  • bargain(バーゲン)… そのうえ(into the bargain)・取引
  • staying(ステイイング)… (人の家に)身を寄せている・滞在している
  • income(インカム)… 収入
  • burden(バーデン)… 負担

次は第 2 章「出会いの話」

メアリーは、ホズマー・エンジェルとの出会いを語りはじめる。継父の反対を押し切って出かけた舞踏会、ふたりの散歩、毎日届く手紙、そして婚約。ホームズは短い問いを重ねながら、彼の勤め先や住まい、人となりを確かめていく。やがて話は、結婚式の当日へと進む。