Scene 13 · Notes

解説 場面 13「暮らしの不安」

この場面の解説

下宿へ戻ったハンターは、乏しい食料と請求書を前に、断ったことを後悔し始める。紹介所へ戻ろうとする直前、雇い主本人から条件を再提示する手紙が届く。

表現・文法のポイント

little enough in the cupboard
little enoughは「ほとんどない」。戸棚の乏しさが、彼女の経済的な追い詰められ方を具体化する。
overcome my pride
「自尊心に打ち勝つ」。冷たく追い返された紹介所へ戻るには、意地を捨てる必要があった。

全文の対訳

"Well, Mr. Holmes, when I got back to my lodgings and found little enough in the cupboard, and two or three bills upon the table, I began to ask myself whether I had not done a very foolish thing. After all, if these people had strange fads and expected obedience on the most extraordinary matters, they were at least ready to pay for their eccentricity. Very few governesses in England are getting £ 100 a year. Besides, what use was my hair to me? Many people are improved by wearing it short and perhaps I should be among the number. Next day I was inclined to think that I had made a mistake, and by the day after I was sure of it. I had almost overcome my pride so far as to go back to the agency and inquire whether the place was still open when I received this letter from the gentleman himself. I have it here and I will read it to you:

「さて、ホームズさん、下宿へ戻って戸棚にはほとんど食べ物がなく、卓上には請求書が二、三通あるのを目にすると、私はひどく愚かなことをしてしまったのではないかと考え始めました。結局、その人たちに奇妙な好みがあり、どれほど突飛なことにも従うよう求めるのだとしても、少なくともその風変わりさに見合う金額は払うつもりなのです。イングランドで年百ポンドを得ている家庭教師など、ほとんどいません。それに、この髪が私に何の役に立つというのでしょう。短くしたほうが似合う人は大勢いますし、私もその一人かもしれません。翌日には、自分は判断を誤ったのではないかと思い始め、その次の日には間違いだったと確信しました。ついには意地を捨てて紹介所へ戻り、あの職がまだ空いているか尋ねようとしかけたとき、当の紳士からこの手紙が届きました。ここにありますので、読んでみます。

"'The Copper Beeches, near Winchester.

「『ウィンチェスター近郊、ぶなの木屋敷。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • extraordinary(イクストローディナリー)… 並外れた
  • eccentricity(エクセントリスィティー)… 奇行・風変わりな性質
  • governesses(ガヴァネスィズ)… 女性家庭教師たち
  • obedience(オビーディエンス)… 服従・従順
  • lodgings(ロッジングズ)… 下宿
  • cupboard(カバード)… 戸棚
  • improved(インプルーヴド)… 上達した・改善した
  • inclined(インクラインド)… 〜したい気がする・〜する傾向がある(be inclined to 〜)

次の場面:届いた手紙 The New Offer

迷っているところへ、ルーカッスルから直接手紙が届く。髪を切る条件を含め、紹介所で話した頼みを受け入れるなら、さらに高い給金を払うという。前金も同封され、出発の日取りまで示されていた。ハンター嬢は手紙を携えてホームズを訪れたのである。