第 1 章(I)奇妙な求人The Adventure of the Copper Beeches

早春の朝、ホームズとワトソンが事件記録の価値を論じていると、若い家庭教師ヴァイオレット・ハンターが相談に訪れる。田舎屋敷での新しい職は、生活に困る彼女には魅力的な給金を約束していた。しかし雇い主が示した仕事の条件には、家庭教師の務めとは思えない細かな注文が並んでいる。

解説の目次

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  1. 01記録の価値 The Value of a Recordベイカー街の部屋で、ホームズはワトソンが書いた事件記録について語り始める。世間を騒がせた大事件より、推理の働きを示す小さな出来事に価値があるという。ワトソンは、自分の記録に向けられた批評を聞きながら、静かに言葉を返す。解説を読む ›
  2. 02霧の朝 A Foggy Morningホームズは、犯罪ではなく論理こそ記録すべきものだと持論を続ける。早春の冷たい朝、窓の外には濃い霧が垂れ込め、室内にはまだ朝食の食器が残っている。新聞の広告欄を読み続けていた彼は、目当てのものが見つからず機嫌を損ねていた。解説を読む ›
  3. 03小さな事件 The Smaller Cases議論が一段落すると、ホームズはワトソンの記録した過去の事件を振り返る。法律上の犯罪ではない依頼にも、独特の方法と興味があった。しかし世間の目から見れば、そうした題材はあまりに小さく映るかもしれないと、二人は記録のあり方を語り合う。解説を読む ›
  4. 04一通の相談 A Letter of Inquiry大きな事件が減ったと嘆くホームズは、その朝届いた一通の手紙をワトソンに渡す。差出人は若い女性で、家庭教師の仕事を受けるべきか相談したいという。約束の時刻はまもなくで、階下から訪問を告げる気配が近づいてくる。解説を読む ›
  5. 05若い依頼人 The Young Visitor手紙の主であるヴァイオレット・ハンターが、約束どおりベイカー街を訪れる。質素ながら整った身なりで、きびきびした態度の若い女性である。身寄りがなく、自分だけでは判断できない奇妙な出来事があったと話し、ホームズに助言を求める。解説を読む ›
  6. 06家庭教師の職 A Governess's Search席に着いたハンター嬢は、これまでの勤めと現在の苦境を説明する。五年間働いた家族が海外へ移り、彼女は職を失った。貯金が減り、求人を求めて紹介所へ通う日々が続くなか、ある訪問の日に、いつもとは違う人物が事務所にいたという。解説を読む ›
  7. 07事務所の男 The Man at the Agency紹介所の小部屋には、責任者のストーパー嬢に加えて、愛想のよい太った中年男性が待っていた。男はハンター嬢の姿を見ると満足げに声を上げ、家庭教師の職を探しているか、前の勤めではどれほどの給金だったかと、矢継ぎ早に質問する。解説を読む ›
  8. 08高すぎる給金 An Unusually High Salary男は以前の給金を聞くと、あまりに安いと大げさに憤り、破格の年俸を提示する。さらに旅支度のため、給金の半分を前払いする習慣まであるという。生活に困っていたハンター嬢には、思いやりに満ちた申し出のように聞こえる。解説を読む ›
  9. 09ハンプシャーへ A Place in Hampshireハンター嬢が住まいと仕事の内容を尋ねると、男はハンプシャーのウィンチェスター近郊にある田舎屋敷を語る。世話をするのは六歳の子ども一人だというが、その遊びについて笑いながら話す様子には、若い家庭教師を戸惑わせるものがある。解説を読む ›
  10. 10奇妙な役目 Unusual Duties子どもの世話以外にも、妻から頼まれる簡単なことに従ってほしいと男は続ける。特定の服を着ることや、言われた場所に座ることなど、仕事とは思えない細かな注文が並ぶ。ハンター嬢は驚きながらも、役に立つことなら応じると答える。解説を読む ›
  11. 11髪を切る条件 The Condition About Hair最後に男が求めたのは、ハンター嬢の美しい栗色の髪を短く切ることだった。妻のちょっとした好みだと説明されても、彼女には受け入れがたい。きっぱり断ると、男は急に態度を変え、ほかの候補者を見ようと席を立つ。解説を読む ›
  12. 12冷たい応対 A Cold Dismissal交渉のあいだ黙って書類を見ていたストーパー嬢は、好条件を断ったハンター嬢に苛立ちを隠さない。名前を登録したままにするかと冷たく尋ね、今後よい口が見つかる見込みも薄いと言い放つ。ハンター嬢は重い気持ちで紹介所を後にする。解説を読む ›
  13. 13暮らしの不安 The Weight of Necessity下宿に戻ると、乏しい食料と積み重なった請求書がハンター嬢を待っていた。高い給金を断った判断が正しかったのか、髪を切る程度の条件にこだわるべきだったのかと迷い始める。雇い主の住所だけは、ウィンチェスター近郊のぶな屋敷と聞いていた。解説を読む ›
  14. 14届いた手紙 The New Offer迷っているところへ、ルーカッスルから直接手紙が届く。髪を切る条件を含め、紹介所で話した頼みを受け入れるなら、さらに高い給金を払うという。前金も同封され、出発の日取りまで示されていた。ハンター嬢は手紙を携えてホームズを訪れたのである。解説を読む ›
  15. 15条件の意味 What the Terms Might Meanハンター嬢は仕事を受ける決意を伝えるが、ホームズは妹なら勧めたくない職だと率直に答える。奇妙な条件にどんな理由があるのか、二人は手掛かりの少ないまま可能性を考える。はっきりした答えは出ず、好条件と不安だけが並んでいる。解説を読む ›
  16. 16助けを求める時 A Promise of Help高い給金に背中を押されたハンター嬢は、もし困ったことが起きたら助けを求めたいと話す。ホームズは、危険を感じたときにはいつでも電報を送るよう約束する。若い依頼人はその言葉を胸に、遠い田舎屋敷へ向かう準備を始める。解説を読む ›
  17. 17残る懸念 Holmes's Concernハンター嬢が階段を下りていくと、ワトソンは彼女なら自分の身を守れそうだと口にする。ホームズは、その強さが必要になるだろうと重く答える。奇妙な条件の理由は分からないまま、二人には田舎屋敷への懸念だけが残る。解説を読む ›