Scene 36 · Notes

解説 場面 36「二つの髪束」

この場面の解説

引き出しの髪と、自分の旅行かばんに残っていた髪を並べると、両者は見分けがつかないほど同じだった。ハンターは意味を解けず、無断で引き出しを開けた負い目から夫妻には黙っておく。

表現・文法のポイント

obtruded itself upon me
考えが「否応なく意識へ入り込む」。自分の髪が二か所にあるはずはないという矛盾が迫る。
put myself in the wrong
「自分を非のある立場に置く」。鍵を開けた行為を責められる可能性が、報告をためらわせる。

全文の対訳

"I took it up and examined it. It was of the same peculiar tint, and the same thickness. But then the impossibility of the thing obtruded itself upon me. How could my hair have been locked in the drawer? With trembling hands I undid my trunk, turned out the contents, and drew from the bottom my own hair. I laid the two tresses together, and I assure you that they were identical. Was it not extraordinary? Puzzle as I would, I could make nothing at all of what it meant. I returned the strange hair to the drawer, and I said nothing of the matter to the Rucastles as I felt that I had put myself in the wrong by opening a drawer which they had locked.

「私はそれを取り出し、調べました。同じ独特の色合いで、量も同じでした。しかしそこで、そんなことはあり得ないという思いが強く迫ってきました。私の髪が、どうして鍵のかかった引き出しの中にあるのでしょう。震える手で旅行かばんを開け、中身を全部取り出し、底から自分の髪を引っぱり出しました。二つの髪の束を並べましたが、まったく同じだったと断言できます。異常なことではありませんか。どれほど考えても、何を意味するのかまったく分かりませんでした。私は見知らぬ髪を引き出しへ戻し、ルーカッスル夫妻には何も言いませんでした。二人が鍵をかけた引き出しを開けたことで、自分に非があると感じたからです。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • impossibility(インポスィビリティー)… 不可能であること
  • extraordinary(イクストローディナリー)… 並外れた
  • thickness(スィックネス)… 太さ、量
  • trembling(トレムブリング)… 震えている・震え
  • identical(アイデンティカル)… まったく同じ
  • examined(イグザミンド)… 調べた・診察した
  • peculiar(ピキューリアー)… 独特な・奇妙な・特有の
  • obtruded(オブトルーディッド)… 強く迫った

次の場面:閉ざされた棟 The Closed Wing

屋敷の間取りを覚えたハンター嬢は、自分たちが使う部分とは別に、いつも閉ざされた棟があることに気づく。庭から見ると窓の一つには板が打たれ、別の窓は汚れている。ある日、その棟の扉から出てきたルーカッスルに出会う。