Scene 14 · Notes

解説 場面 14「庭の奥」

この場面の解説

おじは庭の池で死んで見つかり、陪審は自殺とするが、ジョンは納得できない。相続の話を聞いたホームズは、手紙と死亡の日付を確かめる。

表現・文法のポイント

had much ado to persuade myself
have much ado to ...は「…するのに大変苦労する」。自分を納得させようとしても難しかったという、ジョンの疑いを示す。
his supposed suicide
supposedは「そうだとされている」。ホームズは自殺という評決を確定した事実として言い換えず、ジョンの話に含まれる留保を保って尋ねている。

全文の対訳

"Well, to come to an end of the matter, Mr. Holmes, and not to abuse your patience, there came a night when he made one of those drunken sallies from which he never came back. We found him, when we went to search for him, face downward in a little green-scummed pool, which lay at the foot of the garden. There was no sign of any violence, and the water was but two feet deep, so that the jury, having regard to his known eccentricity, brought in a verdict of 'suicide.' But I, who knew how he winced from the very thought of death, had much ado to persuade myself that he had gone out of his way to meet it. The matter passed, however, and my father entered into possession of the estate, and of some £ 14,000, which lay to his credit at the bank."

「さて、ホームズさん、お待たせしすぎないように結末を申しますと、ある夜、おじはいつものように酔って飛び出したまま、二度と帰ってきませんでした。捜しに出ると、庭の一番奥にある、緑の浮きかすに覆われた小さな池に、うつぶせで倒れているのを見つけました。暴行を受けた跡はなく、水深も二フィートしかなかったので、陪審は、かねて知られていたおじの奇行を考慮し、『自殺』と評決しました。ですが、死を考えるだけでおじがどれほどおびえていたかを知る私には、わざわざ自分から死を求めに出かけたとは、とても思えませんでした。それでも件は片づき、父が屋敷と土地、そして銀行におじ名義で預けられていた約一万四千ポンドを相続しました」

"One moment," Holmes interposed, "your statement is, I foresee, one of the most remarkable to which I have ever listened. Let me have the date of the reception by your uncle of the letter, and the date of his supposed suicide."

「少し待ってください」とホームズが口を挟んだ。「これは私の聞いた中でも、際立った話の一つになりそうです。おじさんが手紙を受け取った日と、自殺したとされる日を教えてください」

"The letter arrived on March 10, 1883. His death was seven weeks later, upon the night of May 2nd."

「手紙は一八八三年三月十日に届きました。亡くなったのは七週間後、五月二日の夜です」

"Thank you. Pray proceed."

「ありがとうございます。どうぞ続けてください」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • green-scummed(グリーンスカムド)… 緑の浮きかすに覆われた
  • eccentricity(エクセントリスィティー)… 奇行・風変わりな性質
  • possession(パゼッション)… 所有・手にしていること
  • interposed(インタポウズド)… 口を挟んだ・間に入った
  • remarkable(リマーカブル)… 注目すべき・著しい
  • statement(ステイトメント)… 話・陳述・声明
  • reception(リセプション)… 受け取り・受領・歓迎
  • downward(ダウンワード)… 下へ・下向きに

次は第 2 章「重なる封書」

ジョンの回想は、父が屋敷を引き継いだころへ移る。以前は立ち入れなかった屋根裏で、どのような物を確かめたのか。青年は家族の記憶をたどりながら、いま相談に来た事情へ話を進める。ホームズとワトソンは、昔の便りと現在の問題の関わりを聞き取っていく。