Scene 02 · Notes

解説 場面 2「杖から考える」

この場面の解説

コーヒーポットに映った姿でワトソンの動きを知ったホームズは、杖から客の人物像を推理するよう促す。ワトソンは、尊敬される年配の医師で、徒歩の往診が多いと考える。

表現・文法のポイント

so unfortunate as to miss him
so ... as to ...は、ここでは「不運にも会い損ねるほどだった」というつながり。missは相手を恋しく思うのではなく、行き違って会えなかったことを述べる。
the probability is in favour of
ワトソンが、自分の推測の方に可能性の重みがあると言っている。in favour ofを単なる賛成とせず、どちらがよりありそうかを判断する表現として読む。

全文の対訳

"I have, at least, a well-polished, silver-plated coffee-pot in front of me," said he. "But, tell me, Watson, what do you make of our visitor's stick? Since we have been so unfortunate as to miss him and have no notion of his errand, this accidental souvenir becomes of importance. Let me hear you reconstruct the man by an examination of it."

「少なくとも、よく磨かれた銀めっきのコーヒーポットが目の前にある」と彼は言った。「だが、教えてくれ、ワトソン、あの客の杖をどう見る?あいにく会い損ねて用件も分からない以上、この偶然の置き土産が重要になる。それを調べて、どんな人物か組み立てて聞かせてくれ」

"I think," said I, following as far as I could the methods of my companion, "that Dr. Mortimer is a successful, elderly medical man, well-esteemed since those who know him give him this mark of their appreciation."

「私の考えでは」と私は、できる限り友の方法にならって言った。「モーティマー医師は成功した年配の医師だ。知人からこんな感謝の品を贈られるのだから、尊敬もされている」

"Good!" said Holmes. "Excellent!"

「いいぞ」とホームズは言った。「実にいい」

"I think also that the probability is in favour of his being a country practitioner who does a great deal of his visiting on foot."

「それに、往診の大半を徒歩でする田舎の開業医と考えるのが、もっともありそうだ」

"Why so?"

「なぜそう思う?」

"Because this stick, though originally a very handsome one has been so knocked about that I can hardly imagine a town practitioner carrying it. The thick-iron ferrule is worn down, so it is evident that he has done a great amount of walking with it."

「この杖は、もとはたいそう立派だったのに、ひどく使い込まれていて、町の開業医が持ち歩くとはまず考えにくいからだ。厚い鉄の石突きがすり減っているから、これを持ってずいぶん歩き回ったのは明らかだ」

"Perfectly sound!" said Holmes.

「まったく筋が通っている」とホームズは言った。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • well-esteemed(ウェルイスティームド)… 高く評価された・尊敬される難
  • thick-iron(スィックアイアン)… 厚い鉄製の難
  • ferrule(フェルール)… 杖などの先端の金具・石突き難
  • well-polished(ウェルポリッシュト)… よく磨かれた
  • silver-plated(スィルヴァープレイティッド)… 銀めっきの
  • appreciation(アプリーシエイション)… 感謝・真価を認めること
  • practitioner(プラクティショナー)… 開業医・実務家
  • unfortunate(アンフォーチュネット)… 不幸な・残念な・不運な

次の場面:刻まれた頭文字 The Inscribed Initials

ワトソンは、杖の傷み方から考えたことに加え、銀帯に刻まれた頭文字へ話を進める。贈り主を推測できれば、持ち主の仕事との関係も考えられる。ホームズを前に説明を続けるワトソンは、自分の観察がどこまで通じるかを確かめている。