Scene 04 · Notes

解説 場面 4「もう一度の観察」

この場面の解説

ホームズは、ワトソンの結論の大部分が誤りだったと明かす。田舎の開業医でよく歩くという点は認めるが、誤った推論を追うことが自分の考えを刺激したのだと説明する。

表現・文法のポイント

Has anything escaped me?
尋ねているのはワトソン。escapeは逃げ出すという意味から、「自分の注意を逃れる」、つまり見落とすことを表す。直後のoverlookedも同じ問題を言い換えている。
Not that you are entirely wrong
「だからといって、まったく間違っているわけではない」と、直前の厳しい批評を限定する言い方。notだけを拾って、全体の推理が正しかったと逆転させない。

全文の対訳

"Interesting, though elementary," said he as he returned to his favourite corner of the settee. "There are certainly one or two indications upon the stick. It gives us the basis for several deductions."

「初歩的だが、面白い」と彼は長椅子のお気に入りの隅に戻りながら言った。「確かに杖には一つ二つの手がかりがある。そこからいくつか推理を組み立てられる」

"Has anything escaped me?" I asked with some self-importance. "I trust that there is nothing of consequence which I have overlooked?"

「何か見落としたかな」と私は少し得意げに尋ねた。「大事なことは見逃していないと思うが」

"I am afraid, my dear Watson, that most of your conclusions were erroneous. When I said that you stimulated me I meant, to be frank, that in noting your fallacies I was occasionally guided towards the truth. Not that you are entirely wrong in this instance. The man is certainly a country practitioner. And he walks a good deal."

「残念ながら、親愛なるワトソン、きみの結論は大部分が間違っていた。きみに刺激されたと言ったのは、率直に言えば、きみの推論の誤りに気づくことで、時に真実へ導かれたという意味だ。もっとも、この場合、すべて間違っているわけではない。その男は確かに田舎の開業医だ。それによく歩く」

"Then I was right."

「なら、私は正しかったわけだ」

"To that extent."

「その点まではね」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • settee(セティー)… 長椅子・ソファー難
  • deductions(ディダクションズ)… 推理・推論・差し引き難
  • self-importance(セルフインポータンス)… うぬぼれ・自分を偉いと思うこと難
  • consequence(コンスィクウェンス)… 結果・重要さ難
  • erroneous(イロウニアス)… 誤った・間違った難
  • fallacies(ファラスィーズ)… 誤った考え・推論の誤り難
  • occasionally(オケイジョナリー)… 時々・時折
  • practitioner(プラクティショナー)… 開業医・実務家

次の場面:贈り主を考える Considering the Gift

杖からの推測を見直す会話が続く。持ち主が田舎を歩く医師だという点を残しながら、二人は贈り主の頭文字に改めて向き合う。何を表す文字なのかによって、贈られた事情の見方も変わる。ワトソンは別の可能性を聞こうとしている。