Scene 111 · Notes

解説 場面 111「列車の出る時」

この場面の解説

ホームズは単独行動を戒め、なくなった黒い靴が戻っていないと確認する。列車が出ると、伝説の夜の荒れ地への警告を念押しして見送る。

表現・文法のポイント

all the same
「それでも」。何事も起きなかったという結果に対し、それでも一人で出歩くのは不用心だったとホームズは言う。
Bear in mind
心に留める・忘れないようにすること。伝説を事実と断言するのではなく、そこにある夜の荒れ地への用心を繰り返す。

全文の対訳

"But we had no trouble of any kind."

「ですが、何も困ったことはありませんでした」

"It was imprudent, all the same," said Holmes, shaking his head and looking very grave. "I beg, Sir Henry, that you will not go about alone. Some great misfortune will befall you if you do. Did you get your other boot?"

「それでも、不用心でした」とホームズは首を振り、ひどく真剣な顔で言った。「ヘンリー卿、一人で出歩かないよう、どうかお願いします。お一人で出歩けば、大変な不幸が降りかかります。もう片方の靴は見つかりましたか?」

"No, sir, it is gone forever."

「いいえ、永久になくなりました」

"Indeed. That is very interesting. Well, good-bye," he added as the train began to glide down the platform. "Bear in mind, Sir Henry, one of the phrases in that queer old legend which Dr. Mortimer has read to us, and avoid the moor in those hours of darkness when the powers of evil are exalted."

「そうですか。それは、非常に興味深い。では、さようなら」と列車がホームをゆっくり滑り始めると、彼は付け加えた。「ヘンリー卿、モーティマー医師が読んだ、あの奇妙な古い伝説の一節をお忘れなく。悪の力が高まる暗い時刻には、荒れ地を避けてください」

I looked back at the platform when we had left it far behind and saw the tall, austere figure of Holmes standing motionless and gazing after us.

ホームを遠く後にしてから振り返ると、ホームズの背の高い厳しい姿が、身動きもせず私たちを見送っていた。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • misfortune(ミスフォーチュン)… 不幸・災難難
  • befall(ビフォール)… (悪いことが)身に降りかかる・起こる難
  • exalted(イグゾールティッド)… 高められた・勢いを増した・高貴な・身分の高い難
  • motionless(モウションレス)… 身動きしない
  • imprudent(インプルーデント)… 不用心な・軽率な
  • phrases(フレイズィズ)… 句・言い回し
  • austere(オスティア)… 厳しい・飾り気のない
  • indeed(インディード)… 本当に・そうかい

次の場面:西へ行く車窓 The Westward Journey

ホームズをロンドンに残し、ワトソンは二人の同行者と西へ向かっている。車窓の町や畑を見ながら、館で過ごす前に互いを知る時間がある。ヘンリー卿にとっては家に関わる土地への旅だが、館をどれほど知っているのかも、まだ話していないことの一つだ。