Scene 133 · Notes

解説 場面 133「道で呼ばれて」

この場面の解説

帰るワトソンを、捕虫網と植物の箱を持つ男が追ってくる。男は正式な紹介を待たないことをわび、メリピット荘のステイプルトンと名乗る。

表現・文法のポイント

excuse my presumption
不躾な振る舞いを許してほしいという丁寧な言い方。初対面の相手を名前で呼び止めたことに添える。
homely folk
ここでは気取らず素朴な土地の人々。住居の居心地や、人の容貌を評する意味ではない。

全文の対訳

Suddenly my thoughts were interrupted by the sound of running feet behind me and by a voice which called me by name. I turned, expecting to see Dr. Mortimer, but to my surprise it was a stranger who was pursuing me. He was a small, slim, clean-shaven, prim-faced man, flaxen-haired and lean-jawed, between thirty and forty years of age, dressed in a grey suit and wearing a straw hat. A tin box for botanical specimens hung over his shoulder and he carried a green butterfly-net in one of his hands.

突然、後ろから走る足音と、私の名を呼ぶ声で、考えが中断された。モーティマー医師だと思って振り向いたが、驚いたことに、追ってきたのは見知らぬ男だった。小柄で細く、ひげがなく、取り澄ました顔で、亜麻色の髪と痩せた顎をしていた。三十から四十歳の間で、灰色の服と麦わら帽を着けていた。肩には植物の標本を入れるブリキの箱が下がり、片手には緑の捕虫網を持っていた。

"You will, I am sure, excuse my presumption, Dr. Watson," said he as he came panting up to where I stood. "Here on the moor we are homely folk and do not wait for formal introductions. You may possibly have heard my name from our mutual friend, Mortimer. I am Stapleton, of Merripit House."

「不躾をお許しください、ワトソン先生」と、息を切らして私の所へ追いついた男は言った。「この荒れ地の者は気取らないので、正式な紹介を待ちません。共通の友人モーティマーから、私の名をお聞きかもしれませんね。メリピット荘のステイプルトンです」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • clean-shaven(クリーンシェイヴン)… ひげをきれいに剃った難
  • presumption(プリザンプション)… 不躾・出過ぎた振る舞い・推定・推測・思い込み難
  • homely(ホウムリー)… 飾り気のない・家庭的な・(米では)器量のよくない難
  • flaxen-haired(フラクスンヘアド)… 亜麻色の髪の
  • butterfly-net(バタフライネット)… 捕虫網
  • introductions(イントロダクションズ)… 紹介
  • interrupted(インタラプティッド)… 中断された・遮った
  • prim-faced(プリムフェイスト)… 取り澄ました顔の

次の場面:近隣からの挨拶 A Neighbour's Greeting

道で声を掛けてきた男は、メリピット荘に住むステイプルトンと名乗っている。モーティマーから聞いていた博物学者だが、なぜ初対面のワトソンの名を知るのか。挨拶を交わす二人は、共通の知人と、新しく館へ来たヘンリー卿について話そうとしている。