Scene 32 · Notes

解説 場面 32「転地の勧め」

この場面の解説

医師は、心臓の病と絶え間ない不安を案じ、卿にロンドン滞在を勧めていた。共通の友人ステイプルトンも同意していたが、出発直前に惨事が起こる。

表現・文法のポイント

however chimerical the cause of it might be
howeverに形容詞が続き、「その原因がどれほど空想的であろうとも」。恐れている対象の実在性とは別に、不安そのものが健康を損ねているとモーティマーは考えている。
send him back a new man
都会の気晴らしを経て、まるで別人のように元気になって帰ってくる、という意味。別の人物に入れ替わるという記述ではない。

全文の対訳

"It was at my advice that Sir Charles was about to go to London. His heart was, I knew, affected, and the constant anxiety in which he lived, however chimerical the cause of it might be, was evidently having a serious effect upon his health. I thought that a few months among the distractions of town would send him back a new man. Mr. Stapleton, a mutual friend who was much concerned at his state of health, was of the same opinion. At the last instant came this terrible catastrophe.

「チャールズ卿がロンドンへ行こうとしていたのは、私の勧めによるものでした。卿の心臓が悪いことは承知していましたし、日々の絶え間ない不安は、原因がどれほど空想的なものであろうと、明らかに健康へ深刻な影響を及ぼしていました。町の気晴らしの中で数か月過ごせば、見違えるほど元気になって帰ってこられると思ったのです。共通の友人で、卿の健康を非常に案じていたステイプルトン氏も、同じ意見でした。最後の最後に、この恐ろしい惨事が起こったのです。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • affected(アフェクティッド)… 病気に冒された・好んでしていた・気取ってしていた・影響した難
  • chimerical(カイメリカル)… 空想上の・実体のない難
  • distractions(ディストラクションズ)… 気晴らし・気を散らすもの
  • catastrophe(カタストロフィー)… 破滅・大惨事
  • evidently(エヴィデントリー)… 明らかに・見たところ
  • concerned(コンサーンド)… 心配している・関係していた(concerned withで)・関係している(as far as 〜 is concerned で〜に関する限り)・心配して
  • constant(コンスタント)… 絶え間ない・一定の
  • anxiety(アングザイエティー)… 心配・不安(all anxiety=心配でたまらない)

次の場面:その夜の診察 The Doctor's Night Visit

チャールズ卿に転地を勧めていたモーティマーは、知らせを受けて館へ向かった夜のことを話そうとしている。新聞記事の記録に重なる出来事も、今度は医師自身の観察として語られる。ホームズとワトソンは、公の説明との違いを確かめるため耳を傾ける。