Scene 40 · Notes

解説 場面 40「呼ばれなかった探偵」

この場面の解説

ホームズは自分が現場を見られなかったことを惜しみ、失われた手がかりを嘆く。呼べなかった事情を述べる医師は、探偵にも扱えない領域があると言いよどむ。

表現・文法のポイント

That gravel page
砂利の地面を、足跡などを読み取れる頁にたとえている。雨や人の木靴によって読めなくなったと述べ、現場が保たれなかったことを惜しむ。
much to answer for
「大いに責任を問われることがある」。質問に多く答えるという意味ではなく、自分を呼ばなかった医師へのホームズの非難。

全文の対訳

Sherlock Holmes struck his hand against his knee with an impatient gesture.

シャーロック・ホームズはいら立ったしぐさで、手を膝に打ちつけた。

"If I had only been there!" he cried. "It is evidently a case of extraordinary interest, and one which presented immense opportunities to the scientific expert. That gravel page upon which I might have read so much has been long ere this smudged by the rain and defaced by the clogs of curious peasants. Oh, Dr. Mortimer, Dr. Mortimer, to think that you should not have called me in! You have indeed much to answer for."

「私がそこにいさえすれば」と彼は叫んだ。「明らかに非常に興味深い事件で、科学的な専門家には大きな好機を与えるものでした。あれほど多くを読み取れたかもしれない砂利の頁は、今ではとうに雨でにじみ、物見高い農民の木靴で踏み荒らされている。ああ、モーティマー医師、あなたが私を呼ばなかったとは。これは大いに責任を感じていただかなくてはなりません」

"I could not call you in, Mr. Holmes, without disclosing these facts to the world, and I have already given my reasons for not wishing to do so. Besides, besides—"

「ホームズさん、こうした事実を世間に明かさずに、あなたをお呼びすることはできませんでしたし、それを望まない理由はすでに申し上げました。それに、それに――」

"Why do you hesitate?"

「なぜ、ためらうのです?」

"There is a realm in which the most acute and most experienced of detectives is helpless."

「どれほど鋭く経験豊かな探偵でも、手の届かない領域があります」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • ere(エア)… 〜する前に(古風)難
  • extraordinary(イクストローディナリー)… 並外れた
  • opportunities(オポチューニティーズ)… 機会・好機
  • experienced(イクスピアリアンスト)… 経験した・味わった・経験豊かな
  • disclosing(ディスクロウズィング)… 明かすこと・公にすること
  • detectives(ディテクティヴズ)… 探偵たち・刑事たち
  • impatient(インペイシャント)… いら立って・待ちきれない
  • evidently(エヴィデントリー)… 明らかに・見たところ

次の場面:ためらいの理由 The Reason for Hesitation

なぜ早く探偵を呼ばなかったのかという問いに、モーティマーは言葉をためらっている。公にするのを避けた理由に加え、彼には説明しにくい見方もあるらしい。ホームズはその意味を尋ね、新聞や自分の観察とは別に、何を聞いていたのかを確かめようとする。