Scene 51 · Notes

解説 場面 51「友人の一日」

この場面の解説

ホームズは、体は椅子に置いたまま精神だけデヴォンシャーへ行ったと冗談を言う。取り寄せた地図を一日中眺めており、その一区画をワトソンに示す。

表現・文法のポイント

in my absence
ホームズは精神が地図の上を旅していたという冗談を続け、留守の間に肉体が煙草とコーヒーを消費したと言う。実際に部屋から出たという意味ではない。
I flatter myself
「ひそかに自負している」。地図を見続けたので現地でも道が分かるだろう、という自信を表す。相手にお世辞を言う用法ではない。

全文の対訳

"The world is full of obvious things which nobody by any chance ever observes. Where do you think that I have been?"

「世の中は、誰一人としてまるで気づかない、明らかなことだらけだ。私はどこにいたと思う?」

"A fixture also."

「きみも一か所にじっとしていた」

"On the contrary, I have been to Devonshire."

「それどころか、デヴォンシャーへ行ってきた」

"In spirit?"

「精神だけで?」

"Exactly. My body has remained in this armchair and has, I regret to observe, consumed in my absence two large pots of coffee and an incredible amount of tobacco. After you left I sent down to Stamford's for the Ordnance map of this portion of the moor, and my spirit has hovered over it all day. I flatter myself that I could find my way about."

「そのとおり。肉体はこの肘掛け椅子に残り、残念なことに、私の留守中、大きなポット二杯のコーヒーと、信じられない量の煙草を消費した。きみが出てから、スタンフォードの店へ人をやり、この辺りの荒れ地の陸地測量図を取り寄せた。一日中、私の精神はその上を漂っていたんだ。現地でも道が分かると、ひそかに自負しているよ」

"A large-scale map, I presume?"

「大縮尺の地図なんだね?」

"Very large."

「非常に大きな縮尺だ」

He unrolled one section and held it over his knee. "Here you have the particular district which concerns us. That is Baskerville Hall in the middle."

彼は一区画を広げ、膝の上に掲げた。「ここが、私たちに関わる地域だ。真ん中にあるのがバスカヴィル館だ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • ordnance(オードナンス)… (Ordnance mapで)陸地測量図の・兵器難
  • large-scale(ラージスケイル)… 地図の縮尺が大きい・大規模な
  • incredible(インクレディブル)… 信じられない・驚くべき
  • particular(パティキュラー)… 特定の・まさにその・特別な
  • observes(オブザーヴズ)… 観察する・気づく・述べる
  • contrary(コントラリー)… 反対・逆。on the contrary で「それどころか」
  • remained(リメインド)… とどまった
  • consumed(カンスュームド)… 消費した・食べたり飲んだりした

次の場面:膝に広げた地図 The Map on His Knee

ホームズが一日向き合っていた荒れ地の地図が、いま二人の間に広げられている。中央の館だけを見ても、その周囲の暮らしや距離までは分からない。ワトソンは地図の説明を聞きながら、モーティマーの話していた土地を具体的に思い描こうとしている。