Scene 84 · Notes

解説 場面 84「宿帳にある名前」

この場面の解説

ホテルの係員は二組の客について説明する。ホームズは、尾行者が同じホテルに泊まっていないことから、見張りながら自分は見られたくないのだと考える。

表現・文法のポイント

claim her acquaintance
彼女と知り合いだと言うこと。ホームズは尋ねた客が自分の知人ではないと区切り、そこから得た事実をワトソンに説明する。
a most suggestive fact
多くを考えさせる、示唆に富む事実。suggestiveはここでは、尾行者が姿を見られたくないという推測の材料になることを指す。

全文の対訳

"Surely you are mistaken about his trade?"

「ご職業を間違えておられるのでは?」

"No, sir! he has used this hotel for many years, and he is very well known to us."

「いいえ、このホテルを何年もお使いで、私どももよく存じております」

"Ah, that settles it. Mrs. Oldmore, too; I seem to remember the name. Excuse my curiosity, but often in calling upon one friend one finds another."

「ああ、それならはっきりしました。オールドモア夫人も、名前に覚えがあるようです。詮索をお許しください。一人の友人を訪ねて、別の友人を見つけることも、よくありますから」

"She is an invalid lady, sir. Her husband was once mayor of Gloucester. She always comes to us when she is in town."

「ご病弱なご婦人です。ご主人は、かつてグロスター市長をなさいました。ロンドンへいらっしゃる時は、いつもこちらへお泊まりです」

"Thank you; I am afraid I cannot claim her acquaintance. We have established a most important fact by these questions, Watson," he continued in a low voice as we went upstairs together. "We know now that the people who are so interested in our friend have not settled down in his own hotel. That means that while they are, as we have seen, very anxious to watch him, they are equally anxious that he should not see them. Now, this is a most suggestive fact."

「ありがとう。残念ながら、その方とは知り合いではありません。この質問で、非常に大切な事実が分かったよ、ワトソン」と一緒に上がりながら、彼は声を落として続けた。「私たちの友人にあれほど関心を持つ連中は、同じホテルには泊まっていないと分かった。つまり、見てのとおり、彼を見張りたくてたまらない一方で、彼には自分たちを見せたくないわけだ。これは、非常に示唆に富む事実だ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • acquaintance(アクウェインタンス)… 知り合うこと(make the acquaintance of で「〜と知り合う」)・知人
  • established(イスタブリッシュト)… (証拠や嫌疑を)確かなものにした・固めた・築いた・設立した
  • suggestive(サジェスティヴ)… (of で)〜を思わせる・示唆的な
  • curiosity(キューリオスィティー)… 好奇心
  • mistaken(ミステイクン)… 間違っている・誤った
  • settles(セトルズ)… 決着をつける・落ち着く
  • invalid(インヴァリッド)… 病弱な人・病人の
  • settled(セトルド)… 定まった・確立した・決着した・処理された・(settled myself downで)ゆったり座った・落ち着いて座った・(金や財産を人に)譲渡した・帰属させた・決着した・解決した・落ち着いた

次の場面:階段の上で At the Top of the Stairs

帳場での質問を終え、ホームズとワトソンはヘンリー卿の待つ部屋へ上がろうとしている。宿泊客について聞いたことを、二人は低い声で話し合っている。だが、朝に別れた客本人との再会もすぐ先にある。静かな調査の続きが、階段の上で中断されようとする。