Scene 116 · Notes

解説 場面 116「聞きたい理由」

この場面の解説

ホームズは、ワトソンに隠れ家を知らせれば不必要な危険が生じたと説明する。カートライトに食料と情報を運ばせ、ワトソンの報告も一日遅れで読み込んでいた。

表現・文法のポイント

an extra pair of eyes
「もう一対の目」。カートライトが物資の配達役だけでなく、ホームズに代わって見聞きする監視役でもあることを表す。
very well thumbed
「たっぷり読み込まれて手あかがついた」。thumbは親指だが、ここでは紙が何度も手に取られた跡を表す。

全文の対訳

"But why keep me in the dark?"

「だが、なぜ私に何も知らせなかったんだ」

"For you to know could not have helped us and might possibly have led to my discovery. You would have wished to tell me something, or in your kindness you would have brought me out some comfort or other, and so an unnecessary risk would be run. I brought Cartwright down with me—you remember the little chap at the express office—and he has seen after my simple wants: a loaf of bread and a clean collar. What does man want more? He has given me an extra pair of eyes upon a very active pair of feet, and both have been invaluable."

「君が知っても何の助けにもならず、かえって私の居場所が発覚するおそれがあったからだ。君は私に何かを伝えたがっただろうし、その親切心から、少しでも快適に過ごせるものを持ってきてくれただろう。そうすれば、不必要な危険を冒すことになる。私はカートライトを連れてきた。急行便取扱所にいた小柄な少年を覚えているだろう。彼が私のつつましい必需品、つまりパン一斤と清潔な襟を世話してくれている。人に、それ以上何が必要だろう。彼は、たいへん活発な一対の足の上に、私のためのもう一対の目を載せてくれた。目も足も、どちらも実に役立っている」

"Then my reports have all been wasted!"—My voice trembled as I recalled the pains and the pride with which I had composed them.

「じゃあ、私の報告は全て無駄だったのか」。どれほど苦心し、誇りを持って書いたかを思い返すと、私の声は震えた。

Holmes took a bundle of papers from his pocket.

ホームズはポケットから書類の束を取り出した。

"Here are your reports, my dear fellow, and very well thumbed, I assure you. I made excellent arrangements, and they are only delayed one day upon their way. I must compliment you exceedingly upon the zeal and the intelligence which you have shown over an extraordinarily difficult case."

「ここに君の報告があるよ、親愛なる友よ。しかも、たっぷり読み込まれて手あかがついている。それは保証しよう。私はうまく手配して、報告は途中で1日遅れるだけで私の手に届いている。この並外れて難しい事件で、君が示した熱意と洞察力には、この上なく賛辞を送らなければならない」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • invaluable(インヴァリュアブル)… 非常に貴重な・計り知れないほど役に立つ難
  • thumbed(サムド)… 手あかのついた・何度も読まれた難
  • exceedingly(イクスィーディングリー)… きわめて・非常に難
  • extraordinarily(イクストローディナリリー)… 並外れて・異常に難
  • arrangements(アレインジメンツ)… 手はず・準備(複数)
  • intelligence(インテリジェンス)… 知性・知能
  • unnecessary(アンネセサリー)… 必要のない・余計な
  • compliment(コンプリメント)… ほめ言葉・評価(皮肉としても使う)・ほめる・賛辞を述べる

次の場面:今日の報告 The Day's Findings

ホームズの言葉を受け、ワトソンは自分の調査を話すことになる。今日の訪問で得たことも、聞いてもらいたい。離れて動いていた二人の情報が、一つの会話に集まろうとしている。別々に動いていた間の出来事を、時の順にたどれば、二人の持つ材料を比べることができるだろう。