Scene 13 · Notes

解説 場面 13「夜の足音」

この場面の解説

眠りの浅いワトソンは、午前二時ごろ忍び足で目を覚ます。扉から見ると、裸足のバリモアがろうそくを手に、用心深く廊下を歩いていた。

表現・文法のポイント

not a very sound sleeper
「あまりぐっすり眠る方ではない」。soundは健康の診断ではなく、眠りが深いことを表し、物音で起きる状況を説明する。
with no covering to his feet
足を覆う物が何もない、すなわち裸足という描写。シャツとズボンは着ているので、服をまったく着ていない意味ではない。

全文の対訳

And yet it may seem a small matter in itself. You are aware that I am not a very sound sleeper, and since I have been on guard in this house my slumbers have been lighter than ever. Last night, about two in the morning, I was aroused by a stealthy step passing my room. I rose, opened my door, and peeped out. A long black shadow was trailing down the corridor. It was thrown by a man who walked softly down the passage with a candle held in his hand. He was in shirt and trousers, with no covering to his feet. I could merely see the outline, but his height told me that it was Barrymore. He walked very slowly and circumspectly, and there was something indescribably guilty and furtive in his whole appearance.

もっとも、それだけを見れば、ささいなことに思えるかもしれない。きみも知っているとおり、私はあまり熟睡する方ではないし、この家で見張り役をするようになってからは、眠りはこれまで以上に浅くなっている。昨夜、午前二時ごろ、部屋の前を通る忍び足の音で目を覚ました。私は起きて扉を開け、外をのぞいた。長い黒い影が、廊下に伸びていた。手にろうそくを持ち、通路をそっと歩く男が落としている影だった。男はシャツとズボン姿で、足には何も履いていなかった。輪郭しか見えなかったが、背丈でバリモアだと分かった。彼はひどくゆっくり、用心深く歩いていて、全体の様子には、何とも言えず後ろめたそうな、こそこそしたところがあった。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • furtive(ファーティヴ)… こそこそした・人目を避ける難
  • circumspectly(サーカムスペクトリー)… 用心深く・慎重に
  • indescribably(インディスクライバブリー)… 言い表せないほど
  • appearance(アピアランス)… 外見・姿を現すこと・身なり・出現
  • slumbers(スランバーズ)… 眠り・睡眠
  • stealthy(ステルスィー)… 忍びやかな・こそこそした
  • trailing(トレイリング)… 引きずる・後に垂れる
  • corridor(コリドー)… 廊下・通路

次の場面:廊下をたどる Along the Corridor

ろうそくを持って歩くバリモアを、ワトソンは廊下で見かけた。館の広間を回る通路の先へ、相手を起こさないよう足取りを静めて進もうとしている。昼には見渡せる館の通路も、夜は灯が届く所だけが浮かび、歩く人の様子を静かに見守ることになる。