Scene 134 · Notes

解説 場面 134「見直す目」

この場面の解説

遺体はヘンリー卿ではなく、脱獄囚セルデンだった。バリモアがヘンリー卿の古着をセルデンへ渡したため、二人は服装で別人だと思い込んでいた。

表現・文法のポイント

feverish haste
「熱に浮かされたような急ぎ方」。死者の正体を確かめるため、平静を失って急ぐ様子だ。
how the matter stood
「事情がどうなっていたか」。standは立つ動作ではなく、現在の状況を表す。

全文の対訳

"A beard?"

「ひげだって」

"It is not the baronet—it is—why, it is my neighbour, the convict!"

「準男爵ではない——これは——なんと、私の隣人、あの脱獄囚だ」

With feverish haste we had turned the body over, and that dripping beard was pointing up to the cold, clear moon. There could be no doubt about the beetling forehead, the sunken animal eyes. It was indeed the same face which had glared upon me in the light of the candle from over the rock—the face of Selden, the criminal.

私たちは熱に浮かされたように急いで遺体を仰向けにした。血に濡れたひげが、冷たく澄んだ月へ向かって突き出した。せり出した額と、くぼんだ獣のような目を見れば、疑いようもなかった。それは確かに、あの夜、ろうそくの光の中で岩の向こうから私をにらみつけたのと同じ顔だった——犯罪者セルデンの顔だった。

Then in an instant it was all clear to me. I remembered how the baronet had told me that he had handed his old wardrobe to Barrymore. Barrymore had passed it on in order to help Selden in his escape. Boots, shirt, cap—it was all Sir Henry's. The tragedy was still black enough, but this man had at least deserved death by the laws of his country. I told Holmes how the matter stood, my heart bubbling over with thankfulness and joy.

その瞬間、全てが明らかになった。準男爵が古い衣類をバリモアに譲ったと話していたことを思い出した。バリモアは、セルデンの逃走を助けるため、それらを彼へ渡したのだ。靴も、シャツも、帽子も——全てヘンリー卿のものだった。悲劇が暗黒たるものであることに変わりはなかったが、少なくともこの男は、国の法律によれば死に値した人間だった。私は感謝と喜びで胸をいっぱいにしながら、事情をホームズに話した。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • beetling(ビートリング)… せり出した・突き出た難
  • thankfulness(サンクフルネス)… 感謝の気持ち
  • neighbour(ネイバー)… 隣の人・隣人
  • feverish(フィーヴァリッシュ)… 熱に浮かされたような・熱のある
  • dripping(ドリッピング)… 滴る・したたっている
  • forehead(フォリッド)… 額・おでこ
  • criminal(クリミナル)… 犯罪者・犯人・犯罪の・犯罪者
  • wardrobe(ウォードロウブ)… 持ち衣装・衣装だんす

次の場面:事情を結び付ける Connecting the Circumstances

誰の身に起きたことなのかを確かめ、二人は衣服について話し始める。館での出来事にも関わる話だ。ワトソンはホームズの考えを聞きながら、経緯を整理しようとしている。館で聞いた言葉と、今夜の荒れ地で見たものとは、離れた場所の出来事でも、互いに関わっている。