Scene 145 · Notes

解説 場面 145「明日に向けて」

この場面の解説

セルデンの死についても、二人は猟犬を見ておらず、追跡と死を直接結ぶ証拠も動機もない。ホームズは証拠を得るため危険を冒すと決め、ライオンズ夫人の協力と自分の計画に期待する。

表現・文法のポイント

complete absence of motive
「動機が完全に欠けている」。セルデン自身をステイプルトンが殺す理由は示せない。
Sufficient for tomorrow is the evil thereof
「明日の苦労は明日だけで十分だ」。先の苦労まで今から思い悩まず、当日に向き合うという言い回しだ。

全文の対訳

"We are not much better off tonight. Again, there was no direct connection between the hound and the man's death. We never saw the hound. We heard it, but we could not prove that it was running upon this man's trail. There is a complete absence of motive. No, my dear fellow; we must reconcile ourselves to the fact that we have no case at present, and that it is worth our while to run any risk in order to establish one."

「今夜の件も、われわれの立場をそれほどよくしてはいない。ここでも、猟犬と男の死とを直接結び付けるものはなかった。私たちは猟犬の姿を一度も見ていない。声は聞いたが、この男の跡を追って走っていたとは証明できない。それに、動機が完全に欠けている。いや、親愛なる友よ。今の私たちには立件の根拠がなく、それを得るためなら、どんな危険でも冒す価値があるという事実を受け入れなければならない」

"And how do you propose to do so?"

「では、どうやって証拠を得るつもりだ」

"I have great hopes of what Mrs. Laura Lyons may do for us when the position of affairs is made clear to her. And I have my own plan as well. Sufficient for tomorrow is the evil thereof; but I hope before the day is past to have the upper hand at last."

「ローラ・ライオンズ夫人に事情を明らかにすれば、私たちのためにしてくれることが大いに望める。それに、私自身の計画もある。明日の苦労は明日だけで十分だ。だが明日が終わる前に、ついに私が優位に立てることを願っている」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • thereof(ゼアロヴ)… そのことの・それについて難
  • connection(コネクション)… 関連・つながり・接続
  • sufficient(サフィシェント)… 十分な
  • reconcile(レカンサイル)… 受け入れる・矛盾なく両立させる・和解させる
  • establish(イスタブリッシュ)… 確立する・開く・設立する
  • tomorrow(トゥモロウ)… 明日
  • tonight(トゥナイト)… 今夜
  • absence(アブセンス)… 不在・留守・欠席

次の場面:門の前で At the Gates

館が近づいても、ホームズは考えを巡らせている。ワトソンには、さらに聞きたいことがある。夜の出来事を抱えたまま、二人はバスカヴィル館の門へたどり着こうとしている。館に戻れば、そこで待つ人々にも話さなければならず、友人同士の会話を続けられる時間は短い。