Scene 21 · Notes

解説 場面 21「同行をめぐって」

この場面の解説

ヘンリー卿は恋の事情を察してほしいと頼み、一人で出かける。ワトソンは迷ったあと、指示を破って危険を招いたらと良心に責められ、すぐ追いかける。

表現・文法のポイント

the last man in the world
ここでは順番が最後の男ではなく、「最もそうしそうにない人」。ヘンリー卿は友人を、楽しみに水を差すような人ではないと持ち上げて頼んでいる。
at a loss
「どうしてよいか分からず、途方に暮れて」。金銭的な損失ではなく、言うことも取るべき行動も決められない状態。

全文の対訳

"My dear fellow," said he, "Holmes, with all his wisdom, did not foresee some things which have happened since I have been on the moor. You understand me? I am sure that you are the last man in the world who would wish to be a spoil-sport. I must go out alone."

「いいかい」と彼は言った。「ホームズさんは、いくら賢くても、僕が荒れ地へ来てから起きたことの幾つかまでは、見通せなかった。分かるだろう。きみは、楽しみに水を差したいなどと考える人から、何よりも遠い人のはずだ。僕は一人で行かなければならないんだ」

It put me in a most awkward position. I was at a loss what to say or what to do, and before I had made up my mind he picked up his cane and was gone.

これには、ひどく困った立場へ追い込まれた。何と言い、どうすればよいか分からず、考えを決める前に、彼は杖を取って行ってしまった。

But when I came to think the matter over my conscience reproached me bitterly for having on any pretext allowed him to go out of my sight. I imagined what my feelings would be if I had to return to you and to confess that some misfortune had occurred through my disregard for your instructions. I assure you my cheeks flushed at the very thought. It might not even now be too late to overtake him, so I set off at once in the direction of Merripit House.

だが、考え直すと、どんな口実があろうとも彼を視界の外へ行かせたことで、良心に激しくとがめられた。きみの指示をおろそかにしたために不幸が起きたと、戻って告白しなければならなくなったら、自分がどう感じるかを想像した。考えただけで頬が赤くなったことを、断言しておく。いまからでも追い付くのに遅すぎはしないかもしれないと思い、私はすぐメリピット荘の方へ出発した。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • misfortune(ミスフォーチュン)… 不幸・災難難
  • instructions(インストラクションズ)… 指示・指図・説明書(instruction の複数形)
  • spoil-sport(スポイルスポート)… 人の楽しみに水を差す人
  • conscience(コンシェンス)… 良心
  • reproached(リプロウチト)… とがめた・非難した
  • disregard(ディスリガード)… 無視・軽視
  • direction(ディレクション)… 分野・方面、対象・方向・(推理の)向かう方向・結論の行く先・方角・指示
  • bitterly(ビタリー)… ひどく・激しく・苦々しく

次の場面:道を急いで Hurrying Along the Road

館を出たワトソンは、先に出発したヘンリー卿を追って道を急ぐ。向かう先はメリピット荘の方角だ。広い荒れ地では、先を行く人の姿も簡単には見えない。荒れ地には見晴らしのよい場所もあれば、低い丘や道の曲がり角で、先の姿が隠れる所もある。