Scene 52 · Notes

解説 場面 52「光のそばをうかがう」

この場面の解説

待つよう話す間もなく、岩の上へ囚人の顔が現れる。泥とひげ、もつれた髪に覆われた男は、灯を目に映し、辺りを鋭く見回す。

表現・文法のポイント

get a glimpse of him
「彼の姿をちらりと見る」。すぐ捕まえる前に、まず近くに本人がいるか確かめようとしている。
hung with matted hair
もつれた髪が垂れ下がった様子。hungはここでは髪が顔にかかる姿を表し、人が吊られている意味ではない。

全文の対訳

"Wait here. He must be near his light. Let us see if we can get a glimpse of him."

「ここで待ちましょう。自分の灯の近くにいるはずです。ちらりとでも姿が見えるか、確かめましょう」

The words were hardly out of my mouth when we both saw him. Over the rocks, in the crevice of which the candle burned, there was thrust out an evil yellow face, a terrible animal face, all seamed and scored with vile passions. Foul with mire, with a bristling beard, and hung with matted hair, it might well have belonged to one of those old savages who dwelt in the burrows on the hillsides. The light beneath him was reflected in his small, cunning eyes which peered fiercely to right and left through the darkness like a crafty and savage animal who has heard the steps of the hunters.

言い終わるか終わらないかのうちに、二人とも彼を見た。ろうそくが燃える割れ目のある岩の上から、邪悪な黄色い顔が突き出された。卑しい欲望の跡が、深く刻まれた、恐ろしい獣のような顔だった。泥に汚れ、ひげは逆立ち、もつれた髪が垂れ下がっていて、丘の穴に暮らしていた昔の未開の人間の一人といっても、十分通りそうだった。下からの灯が小さなずるそうな目に映り、その目は、狩人の足音を聞いた抜け目ない猛獣のように、闇の中を右へ左へと鋭く探っていた。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • thrust(スラスト)… 突き出すこと・押し込んだ・突き出した・突き出した・押しやった(thrust の過去形・過去分詞)・突き出す難
  • foul(ファウル)… 忌まわしい・汚らわしい・ぶつかって・衝突して・汚い・不正な難
  • bristling(ブリスリング)… 逆立っている
  • hillsides(ヒルサイズ)… 丘の斜面(hillsideの複数)
  • reflected(リフレクティッド)… 反射した・映った
  • passions(パッションズ)… 激情・情熱・感情。softer passions で「恋愛感情」
  • belonged(ビロングド)… 属していた・持ち物だった
  • fiercely(フィアスリー)… 激しく・猛然と

次の場面:岩を越えて Over the Rocks

灯のそばにいた男は、二人の気配に気付いたようだ。ワトソンとヘンリー卿の前には、起伏のある荒れ地が広がる。暗い道の先で、人影の動きを見失わないようにする。夜道で人を追うには、普段の走る速さだけでなく、岩の多い地面や、暗さも考えねばならない。