チャールズ卿の晩の行動について、新しい話が出てきた。ヘンリー卿とワトソンは、バリモアがどこまで知っているか確かめたい。まず相手の名を尋ねようとしている。昔の館の主人についての話を、いま暮らす者の口から直接聞けることは、調査には大切な機会だ。
"I can't give you the name, sir, but I can give you the initials.「お名前は申し上げられませんが、頭文字なら分かります。
Her initials were L. L."L・Lでございました」
"Well, Sir Henry, your uncle had a letter that morning.「ヘンリー卿、あの朝、叔父上に一通の手紙が届きました。
He had usually a great many letters, for he was a public man and well known for his kind heart, so that everyone who was in trouble was glad to turn to him.叔父上は公のために尽くし、心の優しい方として知られておりましたので、困った者は誰もが喜んで頼り、いつも多くの手紙を受け取っておられました。
But that morning, as it chanced, there was only this one letter, so I took the more notice of it.ところがあの朝は、たまたまその一通しかなかったため、いつもよりよく覚えております。
It was from Coombe Tracey, and it was addressed in a woman's hand."クーム・トレーシーから、女性の筆跡で宛名が書かれていました」