Scene 15 · Notes

解説 場面 15「年に二百ポンド」

この場面の解説

スポールディングは、ウィルソン自身にも赤毛組合の空きに応募する資格があると言う。報酬は年に二百ポンドほどで仕事は軽いと聞き、商売が苦しいウィルソンは身を乗り出して詳しい話をせがむ。

表現・文法のポイント

with his eyes open
「目を見開いて」。驚きを表す。with +名詞+形容詞 で「~を…の状態にして」という付帯状況の形。赤毛組合を知らないなんて、というスポールディングの驚きぶりが伝わる。
eligible yourself for one of the vacancies
be eligible for ~ は「~の資格がある、~に選ばれる条件を満たしている」。yourself は強調で「あなた自身も」。立派な赤毛のウィルソンなら、まさに条件どおりだというわけだ。
a couple of hundred a year
a couple of hundred は「二百」で、単位の pounds が省かれている。a year は「一年につき」。merely(たった)を添えて、大金をわざと軽く言うことで、かえって相手の気を引いている。
prick up my ears
prick up one's ears は、犬や馬が耳をぴんと立てる様子から、「聞き耳を立てる、急に関心を示す」。お金の話を聞いたとたんにウィルソンが乗り気になったことを、ユーモラスに表している。

背景・時代

年二百ポンドの価値(a couple of hundred a year)
当時の事務員の年収は百ポンド前後で、二百ポンドあれば中流の暮らしが十分にできた。今の日本円に直すと、数百万円ほどに当たるといわれる。片手間の仕事としては破格の報酬だった。

全文の対訳

"'Have you never heard of the League of the Red-headed Men?' he asked with his eyes open.

「『赤毛組合のことを聞いたことがないんですか?』と彼は目を丸くして聞きました。

"'Never.'

「『ないね』

"'Why, I wonder at that, for you are eligible yourself for one of the vacancies.'

「『へえ、そいつは意外ですね、旦那ご自身だって、その空きのひとつに応募できる資格があるのに』

"'And what are they worth?' I asked.

「『で、それはいくらになるんだい?』と私は聞きました。

"'Oh, merely a couple of hundred a year, but the work is slight, and it need not interfere very much with one's other occupations.'

「『なに、年にたった二百ポンドほどですがね、仕事は軽いもので、ほかの仕事の邪魔にもたいしてならないんですよ』

"Well, you can easily think that that made me prick up my ears, for the business has not been over good for some years, and an extra couple of hundred would have been very handy.

「いやもう、それを聞いて私が耳をぴんと立てたのはお察しのとおりでして、なにしろここ何年か商売があまり芳しくなかったものですから、余分に二百ポンドも入れば大助かりだったんです。

"'Tell me all about it,' said I.

「『そいつをすっかり話してくれ』と私は言いました。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • occupations(オキュペイションズ)… 仕事・職業(occupation の複数形)
  • red-headed(レッドヘディッド)… 赤毛の
  • vacancies(ヴェイカンスィーズ)… 空き・欠員(vacancy の複数形)
  • interfere(インタフィア)… 口出しする・干渉する・邪魔をする
  • eligible(エリジブル)… 資格のある・ふさわしい
  • league(リーグ)… 組合・同盟(the Red-headed League で赤毛組合)・競技連盟
  • wonder(ワンダー)… (I wonder で)〜だろうかと思う・驚き・不思議
  • merely(ミアリー)… 単に

次の場面:富豪の遺言 The Millionaire's Will

スポールディングは広告を見せながら、赤毛組合のいわれを語る。組合を作ったのは、自身も赤毛だったアメリカの百万長者だという。彼は莫大な遺産を管財人に託し、その利息で赤毛の男たちに楽な勤め口を与えるよう言い残した。だがそれでは応募者が殺到するはずだと、ウィルソンは首をかしげる。