Scene 19 · Notes

解説 場面 19「面接の小男」

この場面の解説

事務所には、ウィルソンより赤い髪の小男がいて、応募者を次々と不合格にしていた。ところがウィルソンの番になると、男はドアを閉めて髪をじっと眺め、急に手を握って合格を祝った。

表現・文法のポイント

a deal table
deal はここでは「取引」ではなく、松やモミなどの安い板材のこと。deal table は「白木の安いテーブル」で、木の椅子二脚と合わせて、事務所に何の飾り気もないことを伝えている。
behind which sat a small man
前置詞+関係代名詞 which のあとで、主語と動詞が倒置された形(a small man sat behind it の語順が入れ替わっている)。主語が長いとき、こうして後ろに回すと文が読みやすくなる。
find some fault in them which would disqualify them
find fault in ~ は「~に欠点を見つける」。disqualify は「失格にする、資格を奪う」。which 以下が fault を説明していて、「失格にするような何らかの欠点」。always managed to(いつもうまく~した)とあわせ、必ず難癖をつけた様子が分かる。
cocked his head on one side
cock は「(頭・耳などを)ぴんと立てる、傾ける」。cock one's head on one side で「首をかしげる」。一歩下がって首をかしげる、品定めをするような仕草だ。

全文の対訳

"There was nothing in the office but a couple of wooden chairs and a deal table, behind which sat a small man with a head that was even redder than mine. He said a few words to each candidate as he came up, and then he always managed to find some fault in them which would disqualify them. Getting a vacancy did not seem to be such a very easy matter, after all. However, when our turn came the little man was much more favourable to me than to any of the others, and he closed the door as we entered, so that he might have a private word with us.

「事務所には木の椅子が二脚と白木のテーブルがあるきりで、そのテーブルの向こうに、私よりさらに赤い頭をした小柄な男が座っていました。男は、応募者が前に出るたびに二言三言話しかけ、毎回なにかしら難点を見つけては不合格にしていくんです。結局のところ、空きに入るのはそう簡単なことではなさそうでした。ところが、私たちの番が来ると、その小男はほかの誰よりもずっと私に好意的で、私たちが入るとドアを閉めて、内々に話ができるようにしたんです。

"'This is Mr. Jabez Wilson,' said my assistant, 'and he is willing to fill a vacancy in the League.'

「『こちらはジェイベズ・ウィルソンさんです』と私の助手が言いました。『組合の空きに入りたいとおっしゃっています』

"'And he is admirably suited for it,' the other answered. 'He has every requirement. I cannot recall when I have seen anything so fine.' He took a step backward, cocked his head on one side, and gazed at my hair until I felt quite bashful. Then suddenly he plunged forward, wrung my hand, and congratulated me warmly on my success.

「『しかも、じつにうってつけの方だ』と相手は答えました。『条件をすべて満たしておられる。これほど見事なものは、いつ見たか思い出せないほどです』男は一歩下がり、首をかしげて、私がすっかり照れくさくなるまで、私の髪をじっと見つめていました。それから急に飛びつくように前に出てきて、私の手をぎゅっと握り、合格を心から祝ってくれたんです。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • disqualify(ディスクワリファイ)… 失格にする・資格を奪う難
  • cocked(コックト)… (頭を)かしげた・(耳を)立てた・(銃の撃鉄を)起こした(cock の過去形)難
  • bashful(バッシュフル)… 照れくさい・恥ずかしがりの難
  • wrung(ラング)… (手を)固く握った・絞った(wring の過去形)難
  • congratulated(コングラチュレイティッド)… 祝った・祝いの言葉を述べた(congratulate の過去形)
  • requirement(リクワイアメント)… 必要条件・資格
  • favourable(フェイヴァラブル)… 好意的な・有利な(イギリス式つづり。アメリカ式は favorable)
  • candidate(キャンディデット)… 志願者・候補者

次の場面:髪を引っぱる The Hair Test

髪をじっと眺めた小男は、ウィルソンこそ組合にふさわしいと言う。だが念のためと断って、両手で髪をつかみ、悲鳴が上がるまで引っぱる。過去にはかつらや染料でだまそうとした者がいたらしい。本物と確かめると、男は窓から空きは埋まったと叫び、外の赤毛の群れは散っていく。