Scene 31 · Notes

解説 場面 31「野の小道」

この場面の解説

御者は村の方角を指し、屋敷へは踏み越し段を越えて野の小道を行くほうが近いと教え、小道を歩く女性を示す。ホームズはそれがストーナーさんだと見当をつけ、馬車を帰して、建築家か何かの用向きで来たと思わせておくのがよいと言う。

表現・文法のポイント

you'll find it shorter to get over this stile
find it +形容詞+ to 不定詞は「~するのは…だと分かる」で、it は後ろの to get over ~ を指す仮目的語。shorter は「近道だ」の意で、道のりについて言っている。
I thought it as well
it は後ろの that 節を指す仮目的語で、as well は「そうしたほうがよい」という補語。I thought it as well that ~ で「~というのも悪くないと思った」の控えめな言い方になる。
as good as our word
be as good as one's word は「約束を守る」。as good as は「~に等しい」から、言ったとおりに実行する意味になる。ホームズが約束を守って来たと依頼人に告げる、決まり文句だ。
shading his eyes
shade one's eyes は「手をかざして目に当たる光をさえぎる」。遠くの人影を見分けようとするときの、典型的なしぐさだ。分詞構文で、observed Holmes に動作を添えている。

背景・時代

踏み越し段(stile)
柵や塀を越えるための踏み台の階段で、英国の田舎の野道にある。人は越えられるが家畜は通れないので、公共の散歩道(footpath)が私有の牧場を横切るところに設けられた。

全文の対訳

"There is some building going on there," said Holmes; "that is where we are going."

「あそこでは建築工事が行われているようだ。私たちが行くのはあそこだ」とホームズは言った。

"There's the village," said the driver, pointing to a cluster of roofs some distance to the left; "but if you want to get to the house, you'll find it shorter to get over this stile, and so by the footpath over the fields. There it is, where the lady is walking."

「村はあれでがすが」と御者は、少し離れた左手に集まった屋根を指さして言った。「お屋敷へ行きなさるなら、この踏み段を越えて、野原の小道を行きなさるのが近道でがす。ほれ、あすこでがす、ご婦人が歩いておいでのところでがす」

"And the lady, I fancy, is Miss Stoner," observed Holmes, shading his eyes. "Yes, I think we had better do as you suggest."

「そして、あの女性は、おそらくストーナーさんだろう」とホームズは、目の上に手をかざしながら言った。「そう、きみの言うとおりにしたほうがよさそうだ」

We got off, paid our fare, and the trap rattled back on its way to Leatherhead.

私たちは馬車を降り、料金を払い、二輪馬車はがたがたとレザーヘッドへ戻っていった。

"I thought it as well," said Holmes as we climbed the stile, "that this fellow should think we had come here as architects, or on some definite business. It may stop his gossip. Good-afternoon, Miss Stoner. You see that we have been as good as our word."

「こうしておくのがよいと思ってね」と、踏み段を登りながらホームズは言った。「あの男には、私たちが建築家として、あるいは何か用向きがあってここへ来たと思わせておけばいい。そうすれば、おしゃべりを封じられるかもしれない。こんにちは、ストーナーさん。ご覧のとおり、約束は守りましたよ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • cluster(クラスター)… 集まり・群れ・房難
  • stile(スタイル)… 踏み越し段・(柵をまたぐ)踏み段難
  • architects(アーキテクツ)… 建築家(複数)
  • footpath(フットパース)… 野道・歩道・遊歩道
  • observed(オブザーヴド)… 観察した・注意して見た(observe の過去分詞)
  • definite(デフィニット)… はっきりした・確かな・明確な
  • shading(シェイディング)… 手をかざして・日よけして・陰にして
  • suggest(サジェスト)… 提案する・思いつかせる

次の場面:待っていた依頼人 Miss Stoner Waits

小道を歩いていたのは、今朝の依頼人だった。彼女は喜びを顔にあらわして駆け寄り、二人の手を握る。博士は町へ出かけたと告げる彼女に、ホームズは、すでにその博士に会ったと、手短に朝の出来事を語りはじめる。ワトソンは二人のそばで話を聞く。