Scene 39 · Notes

解説 場面 39「鉄の金庫」

この場面の解説

金庫の中身は義父の仕事の書類で、ストーナーさんは数年前に一度見ただけだという。ホームズは猫は入っていないかと妙な質問をし、金庫の上のミルクの皿を取り上げる。猫は飼っていないが、チーターとヒヒがいると彼女は答える。

表現・文法のポイント

What's in here?
What's は What is の短縮形。「この中には何が?」と、容れ物の中身をたずねる基本の形。he asked, tapping the safe の tapping は同時の動作を表す分詞構文で「たたきながら」。
There isn't a cat in it, for example?
否定の疑問文で、「ありえないとは思うが〜はいませんね?」と確かめる調子。for example は挿入句で、猫は思いつきの例にすぎないという顔をして、わざと突飛なことを尋ねている。
What a strange idea!
What a 〜! は感嘆文で「なんて〜なのでしょう」。ここは「なんておかしなことを!」と、ホームズの突然の質問に驚く声。短い No. のあとにそのまま続いている。
a small saucer of milk which stood on the top of it
which 以下が saucer を説明する関係代名詞の節。stood は物が主語のとき「立つ」ではなく「置いてあった」の意味。a saucer of 〜 は「皿一杯の〜」。

背景・時代

異国の動物を飼う風習(keeping exotic animals)
十九世紀のイギリスでは、植民地から動物を持ち帰って飼う人もいた。インド帰りの博士がチーターやヒヒを放し飼いにしているのは、近所の人々の噂になるほど変わったことだった。

全文の対訳

"What's in here?" he asked, tapping the safe.

「この中には何が入っているのです?」と彼は金庫を軽くたたきながら尋ねた。

"My stepfather's business papers."

「義父の仕事の書類です」

"Oh! you have seen inside, then?"

「ほう!では、中をご覧になったことがあるのですね?」

"Only once, some years ago. I remember that it was full of papers."

「一度だけ、何年か前に。書類でいっぱいだったのを覚えています」

"There isn't a cat in it, for example?"

「たとえば、猫などは入っていませんか?」

"No. What a strange idea!"

「いいえ。なんておかしなことを!」

"Well, look at this!" He took up a small saucer of milk which stood on the top of it.

「では、これを見てください!」彼は金庫の上に置いてあった小さなミルクの皿を取り上げた。

"No; we don't keep a cat. But there is a cheetah and a baboon."

「いいえ、猫は飼っていません。でも、チーターとヒヒがいます」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • baboon(バブーン)… ヒヒ難
  • stepfather's(ステップファーザーズ)… 義父の
  • tapping(タッピング)… 軽くたたきながら・軽くたたいている
  • cheetah(チーター)… チーター
  • saucer(ソーサー)… 受け皿・小皿

次の場面:ミルクの皿 A Saucer of Milk

金庫の上にミルクの皿があると指摘したホームズに、ストーナーさんは、この家に猫はいないがチーターとヒヒがいると答えた。ホームズは納得した様子を見せる。そして今度は、部屋にある木の椅子の座面を調べにかかる。