Scene 27 · Notes

解説 場面 27「引き潮のあと」

この場面の解説

引き潮で見つかった外套のポケットには、大量の銅貨が入っていた。ホームズは川の流れと重さからの見方を話すが、ワトソンは残された衣服との関係を問う。

表現・文法のポイント

It was Neville St. Clair's coat
It wasで、見つかった物が本人でなく外套だったと強調する。続くand not Neville St. Clairとの対比が要点。本人の遺体が発見されたという訳にせず、この段階で実際に見つかった物を明確にする。
Would the body be dressed in a coat alone?
外套以外の衣服は部屋に残っていたのに、体は外套だけを着ていたのかと問い返す文。ワトソンは直前の説明のつじつまを確かめている。実際の服装が分かったという断定にしてはいけない。

全文の対訳

"And it did, though they hardly found upon the mud-bank what they had feared to find. It was Neville St. Clair's coat, and not Neville St. Clair, which lay uncovered as the tide receded. And what do you think they found in the pockets?"

「実際に手掛かりは出た。もっとも、心配していたものが泥の岸から見つかったわけではなかった。潮が引いて姿を現したのは、ネヴィル・セントクレア本人ではなく、その外套だった。ポケットには何があったと思う」

"I cannot imagine."

「想像もつかない」

"No, I don't think you would guess. Every pocket stuffed with pennies and half-pennies—421 pennies and 270 half-pennies. It was no wonder that it had not been swept away by the tide. But a human body is a different matter. There is a fierce eddy between the wharf and the house. It seemed likely enough that the weighted coat had remained when the stripped body had been sucked away into the river."

「そうだろうね。まず当てられまい。どのポケットにも一ペニー銅貨と半ペニー銅貨がぎっしりで、一ペニーが四百二十一枚、半ペニーが二百七十枚あった。潮に流されなかったのも、無理はない。だが、人の体となると別だ。波止場と家の間には強い渦がある。重くなった外套は残っても、衣服を脱がされた体は川へ吸い出されたと考えれば、かなりもっともらしかった」

"But I understand that all the other clothes were found in the room. Would the body be dressed in a coat alone?"

「でも、ほかの衣服は全部部屋にあったんだろう。体には外套しか着ていなかったのかい」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • half-pennies(ヘイプニーズ)… 半ペニー銅貨(halfpennyの複数)
  • uncovered(アンカヴァード)… 姿を現した・覆いを取られた
  • mud-bank(マッドバンク)… 泥の岸・泥の堆積地
  • weighted(ウェイティッド)… 重しを入れた・重くした
  • remained(リメインド)… とどまった
  • stripped(ストリップト)… 衣服を脱がされた・はぎ取った
  • receded(リスィーディッド)… 引いた・後退した
  • stuffed(スタッフト)… ぎっしり詰まった・詰めた

次の場面:一つの仮説 A Possible Account

川では氏の外套が見つかり、ポケットには大量の小銭が詰まっていた。重い衣服と本人の行方を、どう結びつければよいのか。ワトソンは、ほかの衣服が部屋に残っていた点を挙げる。ホームズは、見つかっている事実から考えられる筋道を示そうとしている。